鹿追町を舞台に撮影された映画「おしゃべりな写真館」がいよいよ完成し、今年初夏の全国公開に先駆け、令和6年2月23日からシネマ太陽帯広で特別先行公開されています。
演じるのは、主演の中原丈雄さんをはじめ、賀来千香子さん、橋爪功さんなど豪華俳優陣。物語のキーとなる少女・麻衣役には期待の新人 山木雪羽那さんが抜擢されました。
また、多くの町民がエキストラとして出演。セリフのある役のオーディションも行われたほか、瓜幕地区の自然体験留学制度なども忠実に描かれていて、まさに鹿追町の名刺代わりとなる映画となりました。
実はこの映画、撮影のきっかけは町民たちが発した「とある一言」。
その一言を発端に、鹿追の人々の温かさや、十勝野に広がる絶景の数々が藤嘉行監督の背中を後押しし、今回の映画の撮影が実現しました。
そして、より映画を盛り上げるべく、町民有志で『映画「おしゃべりな写真館」ささえ隊』を結成。こうして始まった撮影は、やがて多くの町民を巻き込んでの壮大なプロジェクトとなっていきました。
たくさんの縁がつながり、完成に至ったこの映画。撮影の始まりから、公開に至るまで、フィルター越しに映し出された鹿追町の皆さんの姿に迫ります。
◆STORY
北海道の十勝平野の北部、鹿追町に100年近い歴史のある写真館。
三代目・三國勘太郎(橋爪功)が亡くなり住む人のいない写真館に、2年前に亡くなった娘・敬子(賀来千香子)の夫、フォトグラファーの松原雄二(中原丈雄)がやってくる。緑内障となり失意の雄二の元へ、「写真館を譲る」と勘太郎の遺書が届いたからだった。
冬のある日、雄二は雪の中で動けなくなっている少女・吉本麻衣(山木雪羽那)を助ける。麻衣は、京都から山村留学でこの地へ来ていた中学生だった。心に傷を持つ麻衣と目が見えなくなる失意の雄二。雄二は、麻衣の里親となり、写真館での二人暮らしが始まる。
そこへ、麻衣の前に幽霊の勘太郎と敬子が現れる。勘太郎は、死ぬまでに町の人々の写真集を作るという計画を持っていた。カメラを持たなくなった雄二を、麻衣に協力させ写真を撮らせようとする勘太郎。敬子は、愛する夫を残し先立ったことを雄二に謝りたいが、どうすることもできない。
果たして、雄二は目が見えなくなる中、カメラを持つことができるのか?大自然の四季を通して、4人の思いが描かれる心温まるストーリー。
◆スタッフ×おしゃべり 制作クロストーク
全てはここから始まった「監督、鹿追で映画撮ってよ!」
監督:藤 嘉行さん
カメラマン:瀬川 龍さん
プロデューサー:須永 裕之さん
事業推進:篠尾 幸孝さん
◇撮影のきっかけは
藤:「監督、鹿追で映画撮ってよ!」と言われたのが最初のきっかけですね。
過去に中原丈雄さん主演で撮影をした『明日へ-戦争は罪悪である-』という映画があったんですが、その上映会を平成31年の2月に鹿追で行ったんです。その打ち上げの席で、実行委員の方々に言われました。当時は30%くらいの気持ちで「そうですね、撮りますか」なんて言ってましたけれども(笑)
須永:僕は出身が鹿追町なんです。18歳頃まで鹿追で育ちました。
『明日へ-戦争は罪悪である-』という映画は僕もプロデューサーとして携わっていたんですが、出演者の松本ふみかさんが瓜幕の山村留学生だったんです。そんな不思議な縁がつながり、鹿追町で上映会をすることになりました。地元の方々が実行委員として携わってくださり、当日500人の会場は超満員。上映会は大成功となりました。
◇なるほど。その打ち上げで「監督、映画撮ってよ!」となったワケですね
藤:本格的に撮影を考え出したのは、瓜幕のトレーラーハウスに住んでみてからかな。でもまだ台本も構想もなく。本当に映画ができていくかわからないまま、ちょっと住んでみたら、町の様子や自然がわかるかなと思って。
その次のきっかけは井出照子さん(井出薬房)の新聞配達に一緒について行ったことかな。ひと月近くついて行ったと思う。その道中で、ぼーっと朝焼けを見ていて、「ここはいいところだなぁ」と感じたのが1番のきっかけですね。
配達の途中で、高台の上にある一軒家とかを舞台にしたらどうかな、なんて漠然と思ったりして。
色んな話も聞けたしね。山村留学の成り立ちとか。
◇映画でも山村留学という設定が盛り込まれていましたね
藤:瓜幕の山村留学を立ち上げたうちのおひとりが井出照子さんの旦那さんだったんですね。照子さんからその当時の話や大変だった話なんかをたくさん聞いて、これはぜひ映画に取り入れようと思いました。
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