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自治体の皆さまへ

地域おこし協力隊通信

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北海道鹿部町

「鹿部温泉観光協会担当」
岩岸悟 隊員

本年1月に鹿部町様よりご縁をいただき住み始め、早いもので9か月が過ぎました。自然豊かな環境、人情、春・夏・秋と季節の移り変わりを体感しながら、日々感動の連続です。この多様な環境を生かして、持続可能なまち(観光地)の地域経済活性化を目指して更に取り組みを推進したいと思います。

◆1.地域ブランド・マネジメントの視点
(1)観光まちづくりの視点
いま、日本全体の地域は大きな転換期を迎えています。富める地域もあれば、地域戦略の不十分さによる財政課題等を要因に地域戦略の立て直しを求められる地域も浮き彫りになってきました。人口流動では大都市圏への一極集中などによる地域間格差が拡大傾向にあり、このような中で地域ブランド構築に注目が集まっています。
日本における地域ブランドには、米、野菜、魚介類、肉などの食品に関わる特産品を軸とした「モノのブランド化」が中心に取り組まれてきました。最近ではインバウンド(外国人旅行客)の増加に伴い、「食文化の活用」による温泉地や観光地の特性を活かしたブランド化に取り組む地域も多くなっています。国による「地域ブランド育成支援事業」等の推進による地域ブランド開発への取り組み強化が期待されています。

(2)地域ブランドが目指す目的
特産品開発や観光地のブランド化の最終目的とは、モノが売れ、人が訪れるだけでなく、地域に関わる人々が、地域に誇りと愛着、そしてアイデンティティ(主体性)を持てることと位置づけられるようになってきています。真の意味での地域ブランド化とは「この地に住みたい」「住み続けたい」と言うニーズをベースとしたアイデンティティ形成が叫ばれています。
すでに日本は人口減少と少子高齢化の時代を迎え、減少傾向が加速しています。地方(地域)に残る日本の原風景や文化継承していく者がいなくなると危惧し、地方そのものが消滅危機になりかねないと言われています。このような中「地域ブランド化」によって地域に人を引き寄せ、地域の持続的発展の原動力を高めることこそ、地域ブランド・マネジメントの視点を持って地域創造、地域の持続的発展に寄与することが求められています。

(3)地域ブランドとは何か
そもそも地域ブランドとは、その地域が独自に持つ歴史や文化、自然、産業、生活、人とのコミュニティといった地域資産を、体験・体感の「場」を通じて、精神的な価値へと結びつけることと言われています。「買いたい」「訪れたい」「交流したい」「住みたい」を誘発するまちと、定義づけられることもあります。
地域ブランドの構築には、こうした地域の有形無形の資産を人々の精神的な価値へと結びつけることで、地域の活性化を図り、地域資産としての歴史や文化、まち並み、人との相互作用によって価値を見出し、全体としての統一感や価値観の共有が求められます。地域資産を見直し、掘り起こし、これまで気づかなかった新たな価値を創造していく取り組みが求められています。

(4)地域ブランドの育成
マーケティングが「売れる仕組みづくり」であるのに対して、ブランド構築は「売れ続ける仕組み」と言われています。すなわちブランド構築には「買い続けてくれる人をつくるにはどうすれば良いのか」という視点が必要とされます。ブランド構築における昨今の議論では「経験価値」マーケティングが加わり、経験(体験)の「場」の存在が特に強力なブランド・コンタクト・ポイントとされ、地域が持つ資産「地域らしさ」に根づいた価値の打ち出し方が地域の差別化ポイントとなると言えます。

◆2.地域アイデンティティ創造
環境の変化によっては、新たなアイデンティティを作っていかなければならないこともあります。地域らしさとは、ささいな日常の風景であったり、夜の静けさだったり、時間の流れであったり、暮らす人々の振る舞いであったりもします。「スローライフ」という営みから「タッチスロー」(※ゆっくり、やさしく、ていねいに、こころ・からだ・環境のために)へ。スローライフに人を引きつける「鹿部」の可能性と基幹産業を軸としながら、地域の好循環を生む新たな価値創造へとつなげていく「場」の構築に向けて活動したいと思います。

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