日本は世界有数のヨウ素資源大国で、特に千葉県は世界中で利用されているヨウ素の約4分の1を生産している「資源県」であることをご存じでしょうか?
ヨウ素は「ヨード」とも呼ばれ、けがをすると傷に染みる消毒薬として記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。医薬品・工業品に使用されるほか、人が成長するためにも不可欠な栄養素です。甲状腺ホルモンの成分として必須のものであり、欠乏により、乳幼児期・小児期では身体および知能発達障がいを生ずることが知られています。
千葉県には豊富な天然ガス資源(可採埋蔵量…3685億立方メートル)があり、併せてヨウ素も産出され、千葉県の産出量は日本の約8割、世界シェアでは約4分の1を占めています。
世界ではヨウ素欠乏症に苦しむ国も多く、日本ヨウ素工業会・京葉天然ガス協議会・(公財)成長科学協会と連携し、そうした国々へのヨウ素の贈呈を国際協力の一環として実施しています。
今年2月にはマダガスカル共和国に5回目の贈呈を行いました。現地で製塩業者に配布され、塩にヨウ素が添加された後、住民の方に提供されるとのことで、マダガスカルの国民のヨウ素添加塩の利用率は大幅に向上していると聞いています。
また、ヨウ素は今注目を集めているペロブスカイト太陽電池の主要な原料でもあります。現在主流となっているシリコン系太陽電池と比べ、薄くて軽く、さらに折り曲げて設置することができ、これまで設置できなかった場所や曲面の部分にも設置することができます。
千葉から産出された資源が、世界中の未来を変える、そんな日が来るかもしれません。
千葉県知事 熊谷 俊人(くまがい としひと)
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