■東京行きからいすみ市を考えたこと
いすみ市長 太田洋
先日、東京で開催された大学のある会合に参加しました。その会合は1年に1度、開催されるもので、久しぶりに友人たちに会って話をすると、共に学び困難な学生生活を送った日々が、昨日のことのように思い出されました。中には、社会の第一線を退き、悠々たる生活をしている人もいて、少し羨ましくもなりました。皆、それぞれの思いを持って全国各地から参加し、今日の出会いから何かを得ようとする心意気に驚かされました。
参加者は地方で生活している人が多く、都市部から集まった人が少ない分、共通点も多く、話が盛り上がり、楽しい時間を過ごすことができました。その中で、特に多くの参加者から、人口減少と少子化について心配しているとの声が多くあったことが印象に残りました。今、人口が多い地域でも、2050年には人口が半分になってしまうとか、人口減少によって地元の伝統産業が維持できなくなるといった話も出ました。
また、人口が減少し、子どもがより少なくなれば、教育基盤が揺らいでしまうといった話もありました。その会話の中で、ある友人が、小中学校の再編について私に質問してきました。私は日頃から、人口減少の中で、多くの自治体が学校再編を課題ととらえ、首長の政治課題としているように感じています。なぜ、学校再編を優先課題にするのか、私には理解ができません。学校は地域の大切な教育資源であり、地域の文化を継承する大切なものです。学校は、地域のコミュニティの基本であると考えます。この考えに基づけば簡単に再編はできません。そもそも、人口減少のつけを学校再編に直接結びつけるのはどうかと思います。
首長が、今しなければいけないことは、子どもを増やす施策を行うことではないでしょうか。まずこの施策を行い、どうしても学校が維持できないと地域から声が出て、はじめて再編があるのではないかと考えます。今、学校再編が多くの自治体で進められていますが、このような点をふまえているのかと思うと疑問です。これから人口減少が進みますが、人口を今よりもなだらかな減少に抑える努力を行い、地域経済を持続させ、人も経済も元気ないすみ市を作っていこうと改めて考えさせられた東京行きでした。
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