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ひとこと(200)

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千葉県いすみ市

■NHKドラマ「光る君へ」から思うこと
いすみ市長 太田洋

今年のNHK大河ドラマは、平安期の藤原一族の盛衰を描くドラマで、私は特に興味をもって毎週楽しみに見ています。私は高校時代、どちらかと言うと日本史ではなく世界史が好きな方でしたが、日本史の中では奈良から平安、鎌倉、室町時代には興味があり、特に日本の歴史上、最も平和な時代であった平安初期は好きな時代でした。
今回のドラマは、源氏物語を書いた紫式部の生涯を描いた話で、登場人物はそれぞれ個性があり、権力闘争の中で生き残りをかけた戦いが良くわかります。単に力で権力を維持するのみでなく、学問を学び、書をもって人を理解させることに優れ、当時の人の知識の高さに驚いています。当時の特権階級は天皇を中心とした貴族であり、いかにして権力を握るために天皇を味方に引き入れるかが興味深く描かれています。今は、パソコンやスマートフォンで相手とすぐに連絡できる世の中ですが、当時の唯一の通信手段は、恋文にしても自らの手で文を書き、それを人に託すということの繰り返しで、大変時間がかかるものでした。そこには手紙を送る人や手紙を待つ人の心の駆け引きがあったのではないかと思います。今の私達はすぐ結論を出したがり、求めたがります。つまり、私たちは「待てない」時代に生きているのです。現在の私達は簡潔な表現が主力となり、人の心を打つ表現を上手にできなくなったように思います。何かトラブルがあった時、すぐに結論を出すのではなく、事情を理解した上で、まずはお詫びの手紙を書き、相手に主旨が伝わった上で会って話し合えば、お互い理解ができるのではと思います。人との会話が手紙だけでなく、和歌で答えることもあった、ゆったりとした時間が流れていく平安時代が羨ましくなります。
今回の大河ドラマを見ながら、平安時代、手紙や和歌で相手の心を知り伝えることの大切さに改めて気がつきました。相手を理解するためには、人に語る前に自らが何を伝えたいのか、どんなことをわかってほしいのかをきちんと伝えられることが大切です。感情的に言葉で伝えるのでなく、時には手紙を書くことも有効な方法ではないでしょうか。

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