気候変動の進行に伴う、平均気温の上昇や、台風など災害の激甚化により、全国で農作物の品質低下などの被害が確認されています。
今回は、農業分野にあらわれている気候変動の影響と、適応・緩和策を紹介します。
■影響 気候変動と密接に関連する農業
▽農作物の品質の低下
農作物が生育する期間に高温が続くことで、着色不良や果実の日焼けなど、品質低下が確認されています。
特にコメの収穫量は、このまま温暖化が進むことで一時的に増加しますが、その後減少に転じると予測されており、記録的猛暑などにより、全国の一等米(※1)比率が低下するなど、大きな影響を受けています。
▽病害虫による影響が深刻化
気温上昇により、病害虫の分布の北上・拡大、発生量の増加、越冬などが報告されています。
とうもろこし、イネ、野菜類などへの深刻な食害で知られるツマジロクサヨトウが2019年に国内で初めて発見され、佐倉市でも発生しています。今後も病害虫への対策が必要です。
■適応 気候変動に強い農業の仕組みづくり
▽新たな品種の導入
高温に強い「高温耐性品種」の導入や、収穫量を維持したまま背を低くすることで、風の影響を受けにくくした稲など、新しい品種の開発による適応策が取られています。
■緩和 農業が気候変動に与える影響
▽バイオ炭の活用
バイオ炭とは、生物由来の有機物(バイオマス)を炭化させたものです。原料には、木や竹・もみ殻などがあり、これらを加熱して炭化(CO2を固定化)し、腐敗・分解時などに発生してしまう二酸化炭素を、新たに発生しないようにしたものがバイオ炭です。
バイオ炭の使用により、農地の土壌改良につながるほか、CO2排出量が削減でき、気候変動の「緩和」につながります。またJクレジット制度(※2)を活用し、国の認証を受けたCO2削減量を売却することができます。
■今回のまとめ
佐倉市内の農家数は998(※3)、産出額は50億5千万円(※4)、耕地面積は市域のおよそ4分の1を占め、農業は佐倉市における重要な産業です。
農業生産の基盤に影響を与える気候変動への対策は、農業の未来を考える上で重要な課題です。緩和と適応に継続的に取り組むことで、気候変動による影響を軽減し、持続可能な農業を実現しましょう。
出典:農林水産省、環境省、気候変動適応情報プラットフォーム、千葉県
※1:粒の形状を示す数値などの基準が一定値を超えるお米。令和5年の全国の一等米比率(速報値)は60.9%で、過去最低を記録しました
※2:詳細はホームページ(右記)をご覧ください
※3:2020年農林業センサス報告書より
※4:令和4年市町村別農業産出額(推計)より
※次回7月1日号では、気候変動による産業・経済活動と市民生活への影響についてご紹介します
※二次元コードは、本紙をご覧ください。
問合せ:気候変動対策室(生活環境課)
【電話】484-6716
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