荒井良二『あさになったのでまどをあけますよ』2011年(C)Arai Ryoji
中央の低い位置に描かれたテーブルには、フルーツの盛られた皿やコップ、ろうそくのようなものが置かれています。画面右端に目を向けると、そこには大きく開け放たれた窓があり、明るい光が差し込んでくるようです。窓辺に椅子を置き、その上に立って外を眺めている小さな女の子の姿が見えるでしょうか。視線の先に広がる景色を想像しながら、赤、青、黄色を基調とした鮮やかな色彩で描かれた室内に目を戻すと、その空間の広がりと明るさに、あらためて気づかされます。
荒井良二(1956-)の絵本『あさになったのでまどをあけますよ』の中で、繰り返し訪れる朝と窓の外に広がるいつもと変わらない景色は、この絵本が東日本大震災が発生した2011年の末に刊行されたことを思い出すと、少し違った意味を持つことになるでしょう。
荒井の「いままで」と「これから」を語る作品たちを作家自身が再構成して紹介する展覧会「new born荒井良二いつもしらないところへたびするきぶんだった」では、3.11後の絵本を代表する作品のひとつともいわれる本作品の原画も全てご覧いただけます。
・new born 荒井良二展(12月17日まで)にて展示中です!
問い合わせ:市美術館
【電話】221-2311【FAX】221-2316
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