■日本一人口が少ない町を視察
山梨県早川町
10月26日(木)13時30分から15時50分にかけて議員研修視察を行いました。
訪問したのは山梨県早川町です。早川町の人口は令和5年9月1日現在896名で、日本で最も人口の少ない町ですが財政は比較的良好です。何十年後かに大多喜町の人口も現在の数分の一に減少してしまうという予測もあるなかで、議会として早川町の行政の在り方に関心をもち、研修視察の対象としました。
当日は町長と職員3名が早川町役場会議室にて対応してくださり、私たちの質問に対して予定時間を超えて丁寧に説明していただきました。以下は、その要約です。
大多喜町に比べて早川町が財政的に豊かであるのは、リニア新幹線工事が町内で行われ、大型重機などに対する固定資産税があるからです。ただ反面で、発生した土砂で町道整備をするために投資的経費も多くなっています。またダムが15ヵ所あることも固定資産税が多い理由です。
地方交付税が多いのは、面積が広く集落が点在しているためです。財政健全化のために特別なことはしておらず、身の丈に合った行政をしています。
人口が減少するなか小学校は6校から2校に、中学校も6校から1校にしましたが、寄宿舎も作って教員を早川町が雇用し、複式学級にはしないようにしています。マンツーマン授業になっても学校を支えていきます。また、山村留学にも取り組み、多くの子供が貴重な経験をしており、山村留学した子供が役場職員になったケースもあります。
昭和31年に旧6村が合併し早川町になりました。現在、公的施設は指定管理者制度を使った自主的体制とし、旧1村1拠点を作って、旧6村がそれを維持、活性化して生き残ってきました。今の町政の枠内で旧6村を残すことに努力しており、「人口減少は怖くない、残った人が豊かになれば良い」という考え方でいます。
「面積が広く人口が少ないので、コンパクトタウン推進」という考え方もありますが、われわれはそれとは反対の道を進んでいます。
品川区とは都市と山村との交流協定を結び、すでに延べ5千人以上が早川町を訪れてくれました。交流は活発で、90以上の候補地から早川町を選んでくれたことに感謝しています。
高齢者支援・介護については、保健師、民生委員、お声かけ協力員、地域密着型高齢者施設、包括支援センター、隣接する町の組合立病院、その出張診療所などにより、しっかりと対応しています。
集落移転などはせずに、逆に赤沢宿は重要伝統的建造物群保存地区として選定されていますし、集落支援員もいます。行政側が地域活性化のための提案をしており、マスコミを通じた情報発信も積極的に行っています。地元に戻ってくる人もいて、住民の意識が変わってきています。
■町民から寄せられた声を提言
総務文教常任委員会
総務文教常任委員会では、11月30日令和6年度当初予算編成に向けて、町民から寄せられた声の中から重要性が高い事業などについて、町長へ提言書を提出しました。
なお、提言書の内容は次のとおりです。
▽総務課
現在、商工観光課は駅前の観光本陣の建物の中に位置しているが、行政サービス推進上できるだけ同一敷内にあるべきと考えますので、中庁舎の旧総務課跡(現在は資料室)等へ移転させること。
▽企画課
台風13号の影響により被災した、いすみ鉄道及び小湊鉄道に対する災害復旧への支援を行うことにより、安定した町民の足の確保につなげること。
▽財政課
コロナ禍の影響等により地域通貨が浸透しつつあることから、地域の活性化のためにも引き続き10%のプレミアムで地域通貨事業を継続すること。
▽教育課
大多喜中学校の理科室等特別教室にはエアコンが設置されていないため、熱中症予防の観点からも早期に設置を推進すること。なお、過去に柔剣道場の建替えの話があったが進展していないことから、建替え計画を推進させるとともに、柔剣道場にもエアコン設置を推進すること。
また、両小学校の特別教室等のエアコン設置状況を調査するとともに、未設置の場合は早期にエアコン設置を推進すること。
▽各課に関係する事業等
1 町長が議会に説明した、各地域の事業計画(産地育成事業、アーバンスポーツ整備、大多喜城の活用、県民の森の指定管理、台の古墳群を使った町おこし等)について、継続あるいは早急に具体化し推進すること。
2 令和6年はお城まつり開催50周年の記念の年です。近年のお城まつりは民間主体の実行委員会形式で開催していますが、民間と行政とで若干の齟そご齬を感じます。ついては、相互に話し合い納得した上でのお城まつりの開催を希望します。
3 面白峡遊歩道と中瀬遊歩道の早期復旧を推進すること。
■住民と町議会の懇談会
平塚区
住民と町議会による懇談会が10月28日に開催されました。
この懇談会は、行政への関心ごとや疑問などについて地域に議会が出向き、地元の皆さまと懇談することを目的に、希望される区において開催するものです。今回は、平塚区からの申請を受け3班に編成されているうちの1班が出向いて懇談会を開催しました。
今回の内容は、台風13号に伴う被害状況と復旧状況、高齢化する区民の共同作業に支障が出ていること、鳥獣被害とヒル対策などが取り上げられ、意見交換をしました。
台風被害については、災害救助法の適用また激甚災害の指定の見込みがあることから補助率等に特別な財政措置が受けられること、高齢化対策は基本構想に位置付け各分野にわたり取り組んでいることなどを説明しました。
ヤマビル対策は、有害獣対策にも関係があり、町をあげて取り組んでいるなど約1時間にわたり熱心に意見交換を行いました。
■被災箇所を視察
福祉経済常任委員会
福祉経済常任委員会では、12月10日に台風13号による記録的な大雨により大災害を受けた町内の被害箇所を視察しました。
既に国の査定を受けた箇所もありますが、復旧にはしばらく月日を要します。
■人口減少対策を視察
山梨県南部町
福祉経済常任委員会では11月10日、11日山梨県南部町で視察研修を行いました。
南部町の人口は、大多喜町より約1000人少なく、全国の町村が苦慮している人口減少対策について伺いました。
南部町では学校統合により廃校になった跡地を活用して分譲住宅10区画を整備したところ完売となり、更に本年も引き続き6区画を分譲中とのことです。
また、お試し住宅制度の実施や入学祝い金の支給なども行っているそうです。
研修で得た内容につきましては、今後の議会活動の参考とします。
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