■居合と日本刀に学ぶ武士道のこころ
第二中学校3年 大越 妃依(おおごし ひより)さん
「居合を通して、きれいな姿勢だったり、丁寧な言葉遣いだったり、凛としたたたずまいが段々と身に付いているように感じます」と武道に身を置く美点を語るのは、1月に京都で開催された第8回全日本居合道形(かた)選手権大会(国際居合道連盟鵬玉(ほうぎょく)会主催)で華々しい活躍をした松戸市出身・在住の大越妃依さん。居合を始めてわずか2年足らずで、中学・高校生が出場するユース部門と、一般成人男女混合で技を競う一般部門(級・無級)の両方で優勝を飾るという好成績を収めました。
居合に興味を持ったのは、卒業を間近に控えた小学6年生の2月だったという大越さん。コロナ禍で行動が制限される中、お父さんが愛読する時代小説を読んだりして家での時間を過ごすうちに、新選組のエピソードなどに心ひかれ、「自分でも刀を振ってみたい」という気持ちが芽生えたそうです。
第二中学校に入学した大越さんは、入部したバドミントン部での練習や学校生活と両立しながら、市内でも道場に通える「鵬玉会」の門を叩きます。同会では定まった動きを一人で行う『形』、実際に相手と打ち込みあい、居合の技術による攻防を行う『自由組太刀』、真剣を使い、居合の形で実際に畳表(たたみおもて)などを斬る『試し斬り』の3つによる全国大会が催されており、今回大越さんが出場したのは『形』の大会。「形は動きの理解が深まれば深まるほど、自分が思い描いた通りの動きができているか不安が出てきます」と所作の難しさを表現しますが、「試合で勝てたときに、稽古で積み重ねてきたものが間違ってなかったと思える。その瞬間が一番嬉しいです」と、若くとも剣士らしい勝負へのこだわりを覗かせます。
目指す先は「舞いのような華やかさとは対極の、最短最速で斬る、無駄のない合理的な動きだからこその美しさ」だという大越さん。「刀の振りかぶりや止めるスピード、足の捌(さば)きなどをもっと昇華させていって、形の大会での連覇や自由組太刀での優勝も狙いたいです」と、さらなる上達に余念がありません。
現代まで語り継がれる武士道の気高い精神を学びながら、日々居合の技を磨いている大越さん。
ゆくゆくは、武道であり日本の伝統文化でもある居合の“技”と“心”を伝え広める武道家となるのかもしれません。
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