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先人たちの足跡 No.288

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千葉県栄町

■龍の天井絵
1月号では、龍角寺の宮殿をはじめとした町内の龍の彫り物についてご紹介しました。それらの龍は、向拝柱や中備に刻まれ、まるで空を飛んでいるかのように、建物を装飾しています。
天高く舞う龍は、天井絵として表現されることもありました。町内では、龍角寺奉安殿内の宮殿、多宝院観音堂(酒直)、可存寺十九番大師堂(請方)の3寺において確認することができます。
龍角寺宮殿の天井には、体をくねらせながら天を舞う龍が雄壮に描かれています。漂う雲は、首筋と尻尾のあたりに描かれ、雨を降らせた後に3つに切られたという伝説が表現されているように見えます。元禄5年(1692)の大火によって本堂が失われ、本尊の首から下が失われたのもこの時とされていることから、宮殿は元禄5年以降の制作と考えられます。作者については残念ながら不明です。
多宝院観音堂には、外陣天井の中央に龍、両脇に天女が描かれています。布川(現利根町)に住む玉峨という絵師の作品です。彼は、安政5年(1858)に刊行された『利根川図志』の挿絵を書いた人物です。観音堂は、安政4年(1857)に費用を集めて文久元年(1861)に再建されました。天井絵が制作されたのもこの時のことであり、村内の婦人達の寄進によって奉納されたことが、棟札(むなふだ)に記録されています。
請方の可存寺十九番大師堂には、本尊を安置する厨子があり、その正面に位置する護摩壇の真上に、龍の絵が描かれています。当大師堂は、天保6年(1835)に建立され、明治12年(1880)に再建されたもので、天井絵の制作時期は明治13年に遡ると考えられます。残念ながら、作者については判明していません。
いずれの天井絵も普段は公開されていませんが、お堂の中や本尊を天井から静かに見守っています。

生涯学習課文化財班
【電話】95-1112

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