発酵と聞くと、発酵食品を想像しますよね。けれど、実は私たちの身の回りには発酵技術を使った製品がたくさんあります。普段何げなく利用しているものが、実は発酵の力で生まれた商品だったなんてことも。
市ではこの秋、発酵の一大イベントである「全国発酵食品サミット」を開催予定。開催までの約半年、発酵の奥深い世界を紹介していきます!
【発酵の力01】ビール
ビール造りには発酵の力が欠かせません。原料の麦汁にビール酵母を加えると発酵が始まり、おいしいビールになるのです。市内では、伊能忠次郎商店がビールを製造しています。
【発酵の力02】コスメ
発酵コスメをご存じでしょうか。酵母や菌の働きにより作られる発酵エキスが配合された化粧品です。肌の活性化や保湿効果など、酵母や菌の種類によりさまざまな特徴が生まれます。市内ではBEAUTE DE LABO(株)が化粧品を製造しています。
【発酵の力03】バイオ燃料
バイオ燃料は植物や動物の油脂、ふん尿、家庭廃油などから作られます。中でもバイオエタノールは、植物の糖と酵母菌を使って発酵させて作られます。かつては香取市内でも、バイオ燃料を利用し、軽自動車の燃料に用いる事業者がいました。
【発酵の力04】藍染
伝統的藍染は発酵と関係があります。藍染の染液を作る際に発酵が起き、染液が藍色に変化します。ここに布を漬けることで藍染の完成です。藍染品は幅広く作られており、その美しさは海外のハイブランドからも注目されています。
【発酵の力05】医薬品
発酵を産業で見ると、市場規模が一番大きいのが医薬品です。抗生物質は、製薬段階で発酵技術を応用して作ります。
◆発酵と腐敗の違い
発酵食品は体に良いが、腐った(腐敗した)食べ物は体に良くない、というのは何となく知っていると思いますが、発酵と腐敗の違いは何なのでしょうか。
○発酵と腐敗のプロセスは同じ
発酵も腐敗も、微生物の働きにより有機物を変化させることです。
○じゃあ違いは?
発酵と腐敗の違いは、人間にとって有益か有害かの違いです。納豆は菌を繁殖させて作られますが、ビタミンB2やたんぱく質が多く含まれており、人間に有益なので発酵となります。一方で、生魚を放置しておくと同様に菌は繁殖しますが、腹痛や嘔吐(おうと)などが生じるため人間にとって有害な、腐敗となるわけです。
◆香取市と醸造文化
かつて利根川は太平洋ではなく東京湾に注いでいました。江戸時代になり、江戸を水災害から守り、新たな水田を開発するため、水の流れを東に変える利根川東遷(とうせん)事業が行われます。これにより利根川と小野川がつながり、物資を銚子から江戸へ運ぶ中継地として、香取市は舟運で栄える水郷の商都となりました。
その後、集まった物資を利用して、しょうゆ、酒、みそなどの醸造業が盛んに行われ、それらをはじめとした商業が賑わい「お江戸みたけりゃ佐原へござれ、佐原本町江戸まさり」と繁栄ぶりがうたわれました。これが、香取市の醸造文化の始まりで、現在も伝統を引き継いだ酒蔵などが見られます。
◆発酵技術のイマ
近年の発酵技術は、単に食品をおいしく、そして長期保存するためのものではなく、一次産業を支える重要なものとなっています。
その例として、発酵を利用して肥料を作る技術があります。クラフトビールの生産過程で発生するビール粕を肥料にし、その肥料を利用して、クラフトビール用のホップを生産し提供する。地域で発生する有機物を良質な肥料とし、それをまた地域の土に戻し、そこから農産物を栽培していくという、循環型の醸造モデルの構築にも一役買っています。
また、医療などの様々な分野でも発酵による研究が進むなど、発酵技術は、現在最も注目される技術の一つなのです。
◆広がる発酵ワールド
発酵食品と発酵文化の素晴らしさを全国に向けて発信する全国発酵食品サミットを知っていますか。ワークショップや講演をはじめさまざまな体験を通して、発酵の魅力や文化について深く学ぶことができるイベントが盛りだくさん。
毎年全国各地で開催されるこの全国発酵食品サミットが、この秋、香取市にやってきます!
問合せ:商工観光課
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