青洲は、優れた医師という枠を超え、人々の苦しみを深く理解し、救うために生涯を捧げた人物です。
220年前に行われた、世界初の全身麻酔下での乳がん手術は、医学史に輝く金字塔で、その功績は今もなお世界中で称賛されています。治療方法をくわしく説明して、同意を得る、現在の「インフォームドコンセント」を当時から行い、患者一人一人と真摯(しんし)に向き合い、心に寄り添うことを大切にしてきました。
その寄り添う心は、患者に対してだけでなく、地域にも向けられています。青洲は私財を投じて、貯水池「垣内池」を築き、水が不足し、米作りができなかった村人の生活を潤しました。また、紀州藩主徳川治宝から藩医になるよう再三招きを受けましたが、一般患者の診療ができなくなることを理由に辞退。しかし、断り切れず、一般患者の診療を続けるという特別な許しを得て、月の半分を紀州藩の藩医として勤めました。
青洲に関わる人たちが口を揃えて言う言葉があります。「青洲の人となりを知ってほしい」。この言葉は青洲を知れば知るほど、理解できます。青洲の生涯を知り、学び、振り返ることで、私たちは、自分たちの生き方を見つめ直し、より豊かな人生を送るためのヒントを得られるのではないでしょうか。
母や妻などの協力があって偉業を成し遂げた青洲。その偉業を顕彰していくためには、今回取材に協力してくれた人たちも含め、紀の川市全体で力を合わせて、盛り上げていく事が大切です。
青洲の偉業を後世に語り継ぎ、彼の精神を現代社会に生かすことが、私たち、紀の川市民に課せられた使命なのかもしれません。
■世界の偉人がいるテーマ館 道の駅「青洲の里」
一般財団法人 青洲の里
代表理事 神徳政幸さん
道の駅「青洲の里」の運営などを行う、一般財団法人青洲の里で代表理事を務めています。
展示室などを備えたフラワーヒルミュージアムの外観デザインは、麻沸散(通仙散)の主成分である植物マンダラゲの花がモチーフになっています。また、春林軒では、青洲による乳がん手術の様子などを紹介し、病室や門下生の部屋なども再現しています。
青洲の里では、顕彰活動をメインにさまざまな事業を行っています。今年は手術成功の偉業から220年の節目の年を記念して「世界の医聖華岡青洲~世のため人のため地域のため~」という冊子を谷脇誠さんと協力して作成しました。これまであまり知られていなかった青洲先生の人柄をエピソードを織り交ぜながら紹介しています。また、青洲先生をより深く学んでもらう「華岡青洲學がく」も実施。220年の節目を盛り上げたいと思っています。
いろんな活動をする中で、やはり重要になってくるのは地域の人たちの力です。私1人では、事業は成り立ちません。関わる全ての人と協力しながら「世のため、人のため、地域のため」に尽くしてきた青洲先生が紀の川市の誇りであることを、広めていきたいです。
・活動の様子やイベント告知など、道の駅青洲の里公式facebookをチェック!記事の中には、偉業達成220年事業のひとつ、華岡青洲伝も♪ぜひ、ご覧ください。
■~ようおこしなして~青洲まつり2024
日時:10月27日(日)午前9時30分~(小雨決行)
和歌山県立高等看護学院学院祭と同時開催となります。
場所:道の駅青洲の里、旧名手宿本陣、春林軒
※道の駅青洲の里駐車場は利用できません。高等看護学院グラウンド、那賀中学校グラウンド、市役所那賀支所、那賀体育館の駐車場を利用ください。
内容/時間:
・ステージイベント/午前9時30分~午後4時
・青洲時代行列(旧名手宿本陣から道の駅青洲の里)/午後2時~
・青洲うまいもん横丁/午前9時30分~午後2時
・子ども体験村/午前10時~午後3時
・劇団華岡青洲による演劇の上映「華岡青洲の妻」/午前11時~午後0時30分
・医聖華岡青洲サポートクラブによる絵本読み語り and ワークショップ/正午~3時
・医聖華岡青洲語り部門人会による語り部/午前10時~午後4時
・出店コーナー・行政コーナーなど/午前10時~午後4時
※まつり当日の風景などを撮影した「フォトコンテスト」を実施します。
・時代行列やフォトコンテストなど、くわしくは市ホームページ(本紙掲載コード)を確認ください。
問い合わせ:青洲まつり実行委員会事務局
【電話】77-2511(本庁4階 観光振興課内)
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