誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して
■毎年2万人以上
日本における自殺者数は、平成15年が最も多く、34,000人を超えていました。平成18年10月には「自殺対策基本法」が施行され、自殺を「個人の問題」ではなく、「社会の問題」として捉えるようになり、さまざまな自殺対策を実施。その結果、自殺者数は減少傾向にありますが、それでもなお、いまだに2万人以上が追い込まれた末に自ら命を絶つという悲しい現実があります。
令和5年中では21,837人の尊い命が自らの手によって失われました。この数字は、同年の交通事故死者数(2,678人)の約8倍にあたります。つまり、日本では1日あたりに換算すると、約60人もの人が自ら命を絶っていることになります。
男女別では、男性の自殺者数が14,862人、女性の自殺者数6,975人で男性が女性の約2.1倍にあたります。また、年代別でみると、「50代」が最も多く4,194人。次いで「40代」の3,625人となっており、中高年の割合が高くなっています。近年では、「10代」「20代」といった若い世代の割合が高まっていることも危険視されており、「自殺」は年齢に関わらず、誰にでも起こり得る可能性があります。
■紀の川市の現状
厚生労働省「地域における自殺基礎資料」によると、紀の川市では令和5年中に12人もの人が、自ら命を絶っています。過去10年間では、合計で121人もの尊い命が失われました。また、人口10万人あたりの自殺者数を示す自殺死亡率では、令和2年から全国平均を上回っており、令和5年においても20.0人と全国平均の17.3人を上回っている状況です。
■追い込まれた末の死
自殺は、「健康問題」「経済・生活問題」「家庭問題」などのさまざまな悩みや問題に、その人の性格や個性、置かれている状況などが複雑・複合的に絡み合うことで、心理的に追い込まれた末の死であると言われています。
今回の特集では、支援者や専門家など、自殺予防に携わる人たちに話を伺い、9月10日の「世界自殺予防デー」、10日~16日の「自殺予防週間」に合わせて、一人一人ができる自殺予防について考えます。
▽日本における自殺者数の推移
日本の自殺者数は1998年から2011年にかけて14年間連続で3万人を上回っていました。その後は減少傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大があった2020年には11年ぶりに増加しました。
警視庁 自殺統計より作成
▽紀の川市における自殺の現状
紀の川市の自殺死亡率は一部の年を除いて、全国平均より高い傾向にあります。(自殺死亡率は人口10万人あたりの自殺者数)
厚生労働省 地域における自殺基礎資料より抜粋
(!)令和5年において和歌山県の自殺死亡率は全国で最も悪い21.42人でした。
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