日本仏教の聖地「金剛峯寺」のお坊さんのおはなし
~高野山に自生する植物~
◆杉、椙、倭木
(ヒノキ科)
花ことば:「雄大・堅固・あなたのために生きる」
前回は杉の性質などについて紹介させていただきました。今回は杉が仏教や密教で、どのような役割を果たすのか、お話ししてまいります。
さて、それでは高野山に於いて「杉」がどのように仏教行事に関わっているのか、見ていきましょう。
まず高野山では大事な儀式や法会の際、お寺の敷地を飾り立てる中で写真にあるように「杉盛(すぎもり)」や「結界」として使用されます。この杉盛は馬盥(うまたらい)と呼ばれる桶と合わせて寺院の門前や参道に据えられますが、昔の将軍や大名が馬で来訪した際の馬の餌と飲み水でした。
また石畳の両脇には結界を意味する杉葉を敷き並べて使われています。
次に仏具を見てみましょう。仏壇や神棚、念珠や香合などが作られますが、写真のものは高野杉(こうやすぎ)で作られた念珠と神代杉(じんだいすぎ)で作られた念珠です。見た目には別の木で作られているように見えますが、よくご覧いただくと同じような木目であることがおわかりいただけるでしょうか。
杉材で作られた念珠は、とても軽く我々真言行者にとっては扱い易いのですが、ひとつ難点を挙げるとすれば柔らかいため玉に凹みや傷がつきやすいことがあります。
ともあれ美しい木目や軽いため長時間に及ぶ念誦行の際には【杉】の念珠は心強い相棒となってくれます。
そして最近では護摩の供養物としても使用される機会が増えてきているようです。
問合せ:高野山真言宗 総本山 金剛峯寺
【電話】0736-56-2012
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