令和7(2025)年、大宮盆栽村は開村100周年を迎えます。
名品盆栽の聖地と知られる大宮盆栽村は、国内外から多くの愛好家が訪れます。また、区内には公立では世界初となる大宮盆栽美術館が開設され、北区は盆栽と密接な関係にあります。
こうした中、世界に誇る盆栽文化を継承し、次代へつないでいく活動をしている方々がいます。そこで、盆栽や活動に込める思いを伺います。
母校である植竹小学校での盆栽教室を終えた山田さんにお話を伺いました。
■山田香織(やまだかおり)さん
盆栽家、清香園5代目。伝統的な盆栽を尊重しつつ、女性や若年層にも親しみやすい彩花盆栽を提唱し、「盆栽の伝道師」を使命として精力的に活動し、盆栽の裾野を広げた第一人者として知られる。盆栽文化をより多くの方に知ってもらうため、多方面で活躍中。平成20(2008)年から、さいたま観光大使を務める。
◇家業を継ぐにあたって、当時どんな思いでしたか?
自分をどのような形で役立てていくか悩み、そして大きな挑戦でもありました。盆栽は高齢の男性というイメージが強い趣味でした。その対極にある自分が活動することで、盆栽の難解さや敷居を低くしたい、盆栽をより身近で気軽なものとして感じてほしい、という思いでした。
◇盆栽家としての活動は?
地域での活動は、植竹小学校の総合学習で実施している盆栽教室で講師を担当しています。子ども達が盆栽を育てる中で、生き物という存在を体感してほしい、そして盆栽を日本文化として誇りに思ってくれるようになれば嬉しいです。また、一般の方を対象に盆栽教室を開設しており、盆栽を“気軽に楽しめる趣味”と感じていただくことがこの教室の存在意義だと考えています。このように活動を続けていると、家庭園芸という概念が私の中に入り、日常の中に盆栽を取り入れていただきたいという思いが強くなりました。伝統の継承や技術を高めるという宿題はありますが、ここだけを追求すると、頂は見えても裾野は広がらないので、そのバランスを模索しています。
◇盆栽の未来は?
日本の歴史を振り返ると、争いに明け暮れ、疲弊した時代もあったと思いますが、そのような中でも盆栽を楽しむ文化はあり、人々の心の支えの一つになっていたから、現在まで伝承されてきたものだと考えています。このような側面を踏まえると、厳しい世界情勢の今だからこそ、盆栽の果たせる役目があるのではないかと思います。盆栽の未来を考える際に、海外の方とのコミュニティの共創が大きなテーマだと思います。
◇山田さんにとって、盆栽とは?
共に生きて共に作り上げていくものです。生き物でエナジーを感じていますから、共に生きて、共に作って、共に挑んでいくような、師匠であり友のような、そんな存在です。
問合せ:北区役所コミュニティ課
【電話】669・6020【FAX】669・6161
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