「地域ゆかりの作家」と「本をめぐるアート」をテーマにしたユニークなコレクションを行ううらわ美術館。文教都市浦和で、文化創造の拠点として活動する美術館の「うら」側、のぞいてみませんか。
◇展示会準備レポート~図面作成中!~
約1年に渡る長期休館後のリニューアルオープン企画として、うらわ美術館では近年再び高い関心が寄せられている「新版画」に着目した展覧会「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎(わたなべしょうざぶろう)の挑戦」を11月16日から開催します。新版画は版元※1・渡邊庄三郎(1885-1962年)の、伝統的な浮世絵の技術と新しい絵画表現との融合を目指す試みから始まりました。庄三郎は外国人画家や新進気鋭の画家たちを絵師として起用し、優れた技術を持つ彫師(ほりし)や摺師(すりし)と日夜研究を重ね、新たな浮世絵木版画となる「新版画」を世に送り出すことに成功します。この展覧会では渡邊木版美術画舗の全面的なご協力のもと、残存数が少なく貴重な初摺(しょずり)※2の渡邊版を展示します。この原稿を書いている今、展示の図面を作成しています。ご覧いただいている写真は、展示室入り口付近、導入部の図面です。新版画の歴史や作家、作品の内容を鑑みながら展示室空間を構成するため、図面を何度となく描き直しています。皆さんがこの記事を読むころには図面は完成する予定です。
(うらわ美術館 滝口)
※1 浮世絵版画の企画・制作を手掛け、販売する出版元又は人。
※2 版が作られてから一番初めに、ある一定数摺られた作品。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>