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≪特集≫障がいのある人の働く力を支える(1)

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埼玉県ふじみ野市

厚生労働省の調査では、国内の障がい者の総数は936・6万人であり、人口の約7・4%に相当します。
障がいがあっても、その人らしく生き生きと活躍ができる場として「就労」を取り上げ、市内の就労系障害福祉サービスを紹介します。

◆障がい者の就労状況
厚生労働省の調査によると、令和4年度にハローワークで新規求職申込をした全国の障がい者の件数は、23万3434件。求職活動を行った人のうちの就職件数および就職率は、10万2537件(43・9%)となっています。
この就職率は年々増加していますが、就職先を探している人の方が多い状況です。障がいのある人がさらに働ける社会を目指すため、物理的なハード面の整備以外に、障がい者に対する理解を深め、障がい特性に応じた配慮を心掛けるなどソフト面の整備も求められています。

◆障がい者の「働く場」福祉的就労
障がい者が活躍できる社会を実現するための支援の一つに、「福祉的就労」があります。これは、障害者総合支援法で定められている「就労系障害福祉サービス」です。
就労系福祉サービスは、平成18年4月に施行された「障害者自立支援法」(現在の障害者総合支援法)で、福祉サイドからの就労支援を充実強化するため、新たに「就労移行支援」、「就労継続支援」などの事業が創設されました。また、福祉分野と雇用・教育分野との連携を強化し、障がいのある人が個々の力を発揮して働ける社会を目指すこととしました。

◆就労系障害福祉サービス
就労系障害福祉サービスには、「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労定着支援」の4種類のサービスがあります。

▽就労移行支援
一般企業に雇用されることが可能と見込まれ、就労を希望する障がい者に対して、一定期間就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練を受けるサービスです。

▽就労継続支援A型
一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である人に対し、雇用契約の締結などによる就労の機会の提供および生産活動の機会の提供を行うサービスです。

▽就労継続支援B型
一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である人に対し、就労の機会の提供および生産活動の機会の提供を行うサービスです。

▽就労定着支援
就労移行支援などを利用し、一般企業に新たに雇用された障がい者へ、雇用に伴って生じる日常生活または社会生活を営む上でのさまざまな問題に関する相談、指導および助言などの必要な支援を行うサービスです。

◆自立支援センターたんぽぽ
大井武蔵野1282・7
【電話】049・269・7005

「自立支援センターたんぽぽ」では、障がいのある人の就労の機会を提供しています。お豆富・湯葉・厚揚げ・がんも・ドーナツ・コロッケなど食品の製造や電線プロテクターの組み立て・化粧箱折りなどの内職作業が主な活動内容となっています。
製造した食品は、店舗販売のほか、出張販売もしています。見かけた際は、購入して食べてみてください。
出張販売場所:採れたてふじみ野畑、大井総合支所(第1火曜日)、市役所本庁舎(第3火曜日)
※時間は午前10時~正午。

▽卒業後の就職定着率100%
就職(一般就労)をした際に、すぐにやめてしまうことがないよう、さまざまな経験をして、忍耐力や味方を付けて、一般就労を目指してもらえるようにしています。
また、就職した後に3年間できるアフターフォローに力を入れることで、卒業後の就職定着率が100%となっています。児童期からさまざまな制度を活用して、小さい時から関わることで安心して利用できるようにしています。大きくなって成長を感じると本当に嬉しく思います。

▽働きやすい社会を目指して
親が亡くなってしまったときなどは、違う入所施設に入らなければならないことがあり、一貫したつなぎある支援をできるようにしていきたいと思っています。
また、現在の障がい者雇用はバックヤードで行うものが多いので、表舞台でも働けるような世の中になっていってほしいです。

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就労継続支援B型および生活介護事業所として、障がいのある人が働く「自立支援センターたんぽぽ」で働く職員と利用者にお話を伺いました。

『本人の意思を尊重することが一番大切』

○自己選択・決定できる体制を整える
障がいのある人が、できるだけのびのびと地域で仕事にやりがいを持って取り組めるように支援しています。
一番の特色は、多くの業種で自己選択・決定して作業することができる施設ということです。作業内容が限られてしまうと、それが合わなかった場合、やめるしかなくなってしまうことがあります。
外で販売するのが苦手な人や暑い中で作業するのが苦手な人もいますし、ドーナツを私よりきれいに揚げることができる人もいます。たんぽぽでは、内職と豆富工房があり、併用することもできます。希望者にアンケートをとり、利用者ご自身で希望や選択をしていただいています。
指示などのようにやらせるのではなく、好きなことや、本人が魅力を感じるものにやる気を出してくれるのが分かっているので、それを引き出してあげるようにしています。
自己選択・決定があると、やる気になりますし、新しいことをするきっかけにもなります。やりたいと思ったときにそれを応援できる体制を大切にして工賃向上を目指しています。
-自立支援センターたんぽぽ 施設長 武藤 康治(むとう こうじ)さん

○利用者の声~自立支援センターたんぽぽの職員と一緒にお話を聞きました~
杉浦 健介(すぎうら けんすけ)さん
-完売すると嬉しいので、見つけたら購入してください

自立支援センターたんぽぽに通い始めて10年近く経つ杉浦健介さんにお話を伺いました。杉浦さんは、豆富製造の鉄板や寸胴(ずんどう)の掃除や揚げ出し豆富のパック詰め、出張販売や配達で電卓による商品の計算などオールマイティに作業を行っています。

-ちょっとずつ丁寧に汚れをとることに気を付けて掃除しています。一緒に作業する仲間ができて楽しいです。
水を使って豆富製造などに使った鉄板を隅々まできれいに掃除できる人は少ないのですが、杉浦さんは手を使って隅々まで気を配って洗ってくれてます。どうしても冬は水が冷たく、夏は湯葉製造の熱気で暑くなっていますが、たんぽぽの仲間と一緒に頑張っています。

-働きやすい環境です。お出かけデーが楽しいです。
就職を目指して、就労移行支援を利用していましたが、就労継続支援B型事業所に通所することになった杉浦さんは、電車とバスを乗り継いで来ます。お出かけデーなどでランチを食べに行くことなどを楽しみにしているようです。

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