『日本食と健康』
高橋威博(たけひろ)先生(ファミリーデンタルクリニック)
◆平均寿命と健康寿命
2019年における日本の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳であり、健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳とその差はそれぞれ約9年、約12年の開きがあります。一人ひとりが健やかで心豊かに生活できる社会を目指し、健康寿命の延伸を実現することが必要です。
◆健康維持に必要な事
(1)バランスのとれた食生活
(2)人や社会と繋がる
(3)継続的な運動
(4)ストレスの軽減と自律神経を整える
(5)集中し楽しめる趣味
(6)丁寧に生活する
◆口腔内の健康に必要なこと
(1)口腔清掃
(2)咀嚼・咬合の安定
(3)咬合周囲筋の安静
(4)自律神経の安静
(5)食生活
◆家族や人と繋がる大切さ
古来から日本人にとっては、食を楽しむことは重要なことでした。五感を駆使して味だけでなく、香りや食感、色や形を楽しみます。なにより、家族や友人との共食は心と自律神経の安定に欠かせません。
◆恵まれた食材と日本人の知恵
日本には四季があり、国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため広い地域から得られる多彩で豊富な食材の味わいを生かした調理方法や、さまざまな発酵食の文化が多く存在しています。また、多種類の食材を摂取することにより、必須の栄養素の欠乏を防止し、食材に含まれる有害物質の過剰摂取によるリスクを軽減する効果も期待できます。
◆一汁三菜、口内調味
古来から日本人の食事は米を主食とし、基本的に「一汁三菜」で構成されてきました。
一汁三菜とは、ご飯、汁物、3つのおかずのことで、私たちはこれらを同時に食します。口内でしっかり咀嚼し唾液とまぜながら味や食感を楽しむ食事をしてきたということです。しっかり咀嚼することにより、脳への血流が増し、口腔内の自浄作用が働き、消化にも良く、幸せホルモンが分泌される良い効果があります。
◆良質な水
日本の水は軟水でミネラル分をあまり含まないため、調理でうま味をひきだすことができます。日本は良質な水がある幸せな国なのです。
◆おわりに
食がもたらす健康への効果は絶大です。今まさに私たちは、日本の食文化を守り、後世に伝えていかなければなりません。そのために、自給自足への取り組みや、恵まれた水源を守ることなども意識していきましょう。また、日本の恵まれた食文化の利点を発揮するためには、食物を取り入れる「歯や口」の健康が大切です。この機会にぜひ歯と口のメンテナンスをし、日本食を堪能しましょう。
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