『埼玉の藍染(あいぞ)めと紺屋(こうや)』
日本で伝統的に藍(あい)という青い染料をとるのはタデ科の植物です。藍草(あいぐさ)は、ゴマくらいの小さな種を3~4月ごろにまき、5月に苗を植え替え、7月下旬から9月にかけて2回刈り取り、1週間ほど地面に広げて天日干しを行います。9月末から山盛りの藍草に水を含ませて発酵させ、1~2週間ごとに道具を使ってひっくり返し、かきまぜて均等に発酵するようにします。12月に発酵した藍草のかたまりを臼でひき、団子状の藍玉(あいだま)を作ります。新一万円札の肖像となる渋沢栄一も藍玉の製造、販売を行っていました。
藍玉は、紺屋(こうや)が買い取り、藍甕(あいがめ)に入れて溶かし、温めて、発酵させて使います。紺屋は、藍液の色調や泡(華(はな)という)の様子、液をかき混ぜたときの音から染めが可能な「藍が建(た)つ」状態を確認し、最初は捨てる寸前の薄い藍液に糸をなじませ、その後に、段階的に濃い藍液につけて染めていきます。充分に染め上がった糸は、つるして、染めむらがないように、たたいて空気に均等に触れさせます。
市内にも紺屋が存在し、染めた糸を使って機屋(はたや)が個性的な織物を生みだしてきました。伝統的な藍の栽培、藍玉づくり、藍染めの一連の工程について、埼玉県立歴史と民俗の博物館から提供された貴重な写真と市伝統の織物再現品を、7月28日(日)まで上福岡歴史民俗資料館で紹介しています。かつての郷土の藍染、織物の様子に思いをはせてみませんか。
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上福岡歴史民俗資料館
[ACCESS]
・長宮1・2・11
・上福岡駅東口から徒歩20分、ふじみん号Aコース「福岡小学校」下車徒歩1分
・開館時間は午前9時~午後4時30分(月曜日と年末年始を除く)
問合せ:上福岡歴史民俗資料館
(【電話】049・261・6065)
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