■文化財は語る 第十一回 屋敷林の樹木(1)
町内に古くからある農家屋敷の規模や形態は様々ですが、いずれもゆったりとした雰囲気がかもし出されています。屋敷内には母屋をはじめとする建て屋、農作業に欠かせない広い庭や施設、それらを囲むように配置された屋敷林には、様々な樹木が植えられ、それぞれが有機的な関連性をもって存在しています。
屋敷内には防風・防火を主目的とした多くの樹木が植えられています。どこの屋敷にも必ず植えられているものとしてはケヤキとカシがあげられます。そのほか広い屋敷地を持つ家では竹やスギ、ヒノキを植えている場合が多くあります。
ケヤキは屋敷地の外周に植えられます。樹高は20mにもおよび、屋敷内で最も高く育ちます。ホーキダチ(箒立ち)といって箒を逆さに立てたように上部で枝を大きく広げるため、他の樹木との関係からも屋敷の外周が良いとされます。夏は茂った葉が屋敷内に木陰を作り、冬は落葉して木漏れ日が差し込みます。木材としても高値での取引が可能でした。カシは、母屋の北側やカシグネ(高垣)に仕立てて蔵の周りに植えられます。燃えにくく防火の効果があると共に、常緑樹のため冬でも葉を茂らせ、防風効果が高いという利点があります。また、カシはとても硬いため、農具の柄などに利用できると供に、実は飢饉時の非常食にもなることから屋敷林の樹木として多用されました。
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