阿部 裕一さん(上尾下)
みんなが笑顔で楽しく過ごす場所
子どもから高齢者まで共生に一歩一歩
高齢者や障がい者、子どもなどさまざまな世代が交流し、人と人がつながる場所をつくる取り組みが注目されています。
これを実現する多世代交流型施設『リハビリホーム一歩』の代表、阿部裕一さんに話を伺いました。
施設の名称を「一歩」とした理由を「事業をスタートした時、自分自身の第一歩だと思いました。高齢者にリハビリを受けてもらい、体を回復する第一歩。前に踏み出すことも一歩。何でも一歩」と阿部さんは話します。
施設は、高齢者が通うデイサービスと子どもが集まる保育所、障がいのある子どもが利用する児童発達支援事業所の三つの機能を併設しています。それぞれの利用者同士が交流することで役割や居場所が生まれたり、いたわりの心を養ったりする効果があるそうです。
実際の交流を見ていると、高齢者が子どもを見守ったり、子どもが高齢者に駆け寄って話し掛けたりして、和気あいあいとした空気が流れていました。サポートする職員にも柔らかな笑顔があふれていて、純粋にみんなで楽しく過ごしているように感じられました。
この施設の先駆けとなったデイサービスは、平成23年8月にスタートしました。多世代が交流することをイメージするようになったきっかけは、職員の子どもが施設を訪れた際、普段は笑顔の少ない高齢者が子どもと触れ合った時に、パッと笑顔になったこと。「高齢者と子どもが関わり合うと、相乗効果があるかもしれない」と感じたそうです。そして、平成27年にデイサービスと保育所を併設した『みんないっしょの一歩and(アンド)いっぽ』を開業しました。
阿部さんが保育所で仕事をしていたある日、障がいのある子どもの入所相談を受けました。当時の阿部さんは障がいのある子どもと接したことが少なく、慌ててしまったとのこと。それが何年も心残りで「いろんな子どもが同じ場所で過ごせるようにしたい」と考えるようになり、ことし1月に児童発達支援事業所『せーの!でいっぽ』を併設することとなりました。
「多くの地域の人に支えられ、ここまで来ました。これからも協力していただいた人に感謝の気持ちを忘れずに『一歩』がここにあってよかった、と言ってもらえるように一歩一歩進んでいきたい、と考えています。」と笑顔で話す阿部さん。
今後は「子どもと高齢者と職員の間の世代を埋めること。次は中高生世代を仲間に入れたい」とのことです。これからも着実に一歩一歩進みながら目標を実現していくことでしょう。
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