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自治体の皆さまへ

「ちがい」をやさしく越えて多文化共生のまちへ(5)

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埼玉県加須市

【interview 多文化共生への取り組み 公立小中学校個別日本語習得支援】
今年度から市が配置した「日本語指導助手」が、曜日ごとに決まった児童・生徒への支援を行う

◆子どもたちの心のよりどころに
◇日本語指導助手 梅本美佐子さん
外国籍児童のための日本語指導教員は、令和3年10月から県より配置されていましたが、支援が必要な子どもの増加を受けて、今年度から新たに市職員が配置されることになりました。
大切にしているのは、子どもが緊張せず、日本語をのびのびと使える場所をつくること。これまで勤めてきた幼稚園などの教育現場での経験を生かし、体験や遊びの中で日本語に触れ、楽しみながら話せるようになってもらうことを意識しています。
指導内容は、子どもと一緒につくっている感覚が強いです。まずは良い関係をつくることを優先し、子どものペースや個性を尊重しています。おしゃべりが好きな子には、自分からどんどんしゃべってもらって、分からない日本語を辞書などでサポートし、遊びが好きな子には、ルール説明や遊びの中で日本語を使ったコミュニケーションを生み出し、楽しみながら日本語に触れてもらっています。
言葉が通じない外国籍の子どもに対して、週に一度、しかも1時間に満たない時間しか接することができないため、支援が上手くいっているのかどうかが分からず、試行錯誤の毎日です。それでも、日本語の上達を感じられたときはもちろんですが、子どもの方から日本語を使った遊びを提案してくれたときや、緊張がほぐれた楽しそうな表情を見せてくれたときは、本当に嬉しいです。
加須市では、日本語の支援を必要とする子どもが増えてきています。外国から来た子どもたちに「日本語を使うのは怖くない」と少しでも思ってもらえるように、これからも、自分にできることを続けていきたいです。

◇支援利用者の声
荒木イシャンくん
小学3年生。8歳の頃、父親の仕事のためフィリピンから移住。家族との会話では、英語を使うことの方が多い。特技はルービックキューブ。

梅本先生は、遊びの中で楽しく日本語を教えてくれます。僕の好きな遊びは「かくれんぼ」です。隠された人形を「こっち」「あっち」などのヒントをもらって見つける遊びです。この遊びで覚えた言葉は、友達とサッカーをするときや、なくした物を探すときによく使っています。
休みの日に覚えた日本語を、先生に聞いてもらうのも好きなので、いつも次に会える日を楽しみにしています。

【interview 留学生を知る人の声 KJS東京日本語学校(Kazo Japanese School)】
令和3年10月、法務省が定めた基準を満たす市内で初めての日本語学校として開校

◇理事長 穐山正明さん
地域の人手不足や、外国人との日本語でのコミュニケーション不足を課題に感じ、日本語学校を設立する。
・学校の入学時期は4月と10月の2回。令和5年10月の入学者は47人。1期生(昨年の4月入学)の2人から大きく増加しています。
・手打ちうどん試食会の様子。語学だけでなく、日本の文化や風習の体験も大切にしています。

学生の多くは、生活する上で必要なアルバイト先を探すことに苦戦しています。在留資格に定められた1週間の労働上限(週28時間以内、長期休みは週40時間)を配慮する。自転車で通うには遠過ぎる。信仰のためにひげを伸ばしている学生が、見た目を理由にお断りされてしまう。さまざまな理由があります。他にも「外国人」というだけで住居の契約ができなかったり、日本の文化に慣れる時間が足りず、ホームシックになる学生もいます。
学生の多くが卒業後、日本での就職を希望しています。地域への愛情や愛着を感じてもらったり、不安を払拭してもらうことは、学生を受け入れている私たちの役割でもありますが、地域住民や地域企業の皆様のご協力も必要不可欠と考えています。加須市が、学生にとって自分たちを受け入れてくれる第二の故郷となるように、学校外での支援にも力を入れているところです。

【公的な支援】
○多言語による情報発信
・本庁舎の正面玄関に、多言語に翻訳したチラシなどをまとめたコーナーを設置
・市ホームページの多言語対応
・スマホやタブレットなどから閲覧できるカタログポケットで、広報紙やごみの出し方などの情報を多言語で配信

○外国人への出前講座
災害時の避難やごみの出し方、自転車に乗るときのルールなど、暮らしに大切な情報を、市職員が出向き、伝えています。

○外国語での相談
・外国人総合相談センター埼玉
日本語が分からなくて困ったときに、外国語で相談ができます。
受付時間:9時~16時
【電話】048-833-3296
・市の窓口
市内公共施設には翻訳機(ポケトーク)を備えています。

○日本語習得支援を行うボランティア団体へのサポート
(1)活動場所の提供
(2)活動に使用する教材の購入
(3)活動に役立つ研修などの情報提供
※写真等は本紙13ページをご覧ください。

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