合併により誕生した加須市には、数多くの公共施設があり、類似する施設も多くなっています。そして、その多くは老朽化し、今後、建て替えや改修には多くの費用が必要となります。
今後も人口減少や少子高齢化が進展する中、公共施設に充てられる財源が限られることを考慮すると、将来にわたって全ての施設を維持していくことは困難です。
今月号では、本市の公共施設を取り巻く現状や課題とともに、将来を見据えた施設の適正配置の必要性をお知らせします。
■加須市の状況は?公共施設の現状と課題
○382の公共施設
本市には、令和6年1月1日現在、382の公共施設があり、小中学校、体育館などが半数以上となっています。
・施設類型別の延床面積の割合
※その他:本庁舎、総合支所、浄水場、クリーンセンターなど
○半数以上が築30年以上
建築後30年以上が経過している公共施設の延床面積は、全体の半数以上を占めており、中には50年以上が経過している施設もあります。
このため、今後多くの公共施設が、大規模改修や更新の時期を迎えることになります。
・建築経過年数別の延床面積の割合
○同種施設が1割以上多い
本市における公共施設の延床面積は、本市と同程度の人口規模の県内自治体と比べると、約6.4万平方メートル(東京ドーム1・4個分相当)大きくなっています。
また、図書館・体育館の数や小中学校の延床面積を比較しても、本市の方が多く(大きく)なっています。
・同規模人口の県内11市との比較
出典:総務省・公共施設等総合管理計画策定取組状況等に関する調査(令和5年3月31日現在)
出典:総務省・市町村公共施設状況調査(令和5年3月31日現在)
○進む人口減少と少子高齢化
合併後の15年間で、人口は約5千人減、高齢化率※は11ポイント上昇し、生産年齢人口は9ポイント減少しています。
少子高齢化は、税収の減少、社会保障費の増加を伴います。
また、人口の減少と年齢構成の変化とともに、必要な施設やサービスも変化していきます。
※人口に占める65歳以上の割合
・人口および高齢化率の推移
・年齢別人口の割合
○重い財政負担
今ある全ての公共施設を耐用年数経過時に同種・同規模で更新した場合、34年間で約3,389億円の費用が必要となる見込みです。これは、本市が令和6年度に使うお金(令和6年度一般会計予算額)の約8年分に相当します。また、平成28年度から令和2年度までの5年間に道路、橋、学校、庁舎などの建設や大規模修繕に要した費用の年平均38.9億円のおよそ90年分になります。
今後の公共施設の更新には多額の費用が必要であり、市の財政運営に大きな負担となります。
このことから公共施設の統廃合の検討が必要です。
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