特集 あの日踏み出した一歩 僕ら夢の途中で-(3)

6／36

■Interview3　一歩ずつ前に踏み込んでいく
打楽器奏者　國分大悟さん　2004年3月生まれ/加須市下三俣出身
夢は「打楽器奏者として在京のプロオーケストラに所属し、ティンパニを担当すること」。
そして、普段あまり音楽に触れる機会がない人にも、音楽は特別なものではなく、何気ない暮らしの中にも必要なものであることを伝えていけるようになりたいです。
小学生の頃、母の勧めでバイオリンを習い始めました。元々音楽の成績が一番悪かったので、初めは嫌々通っていました。それでも続けていくうちに、正解のない世界におもしろさを感じるようになっていきました。
ジュニアオーケストラの活動で、双葉町から加須市に避難している方々に演奏を聴いてもらう機会がありました。とても集中して聴いてくれる様子に心を打たれ、お客さんの期待に応えたいという気持ちが強くなったのを覚えています。

2013　9歳：
加須・下總皖一記念ジュニアオーケストラ入団
小学生の頃はバイオリンを演奏
中学に上がる頃から打楽器メインに転向
2018　14歳：夢☆未来応援事業に応募して採用される
2022　18歳：富士見市の市制施行50周年記念事業「富士見ファンファーレ募集」に応募した「富士見市市制施行50周年への祝典序曲」が採用
現在　20歳：音楽大学に通い、年2回オーストリア・ウィーンに短期留学し、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団首席ティンパニ奏者から指導を受ける

○正解のない世界への挑戦
打楽器をやりたいと思ったきっかけは、小学5年生の頃、オーケストラの先生に連れていってもらった演奏会で聴いたシンバルの一発でした。その音は、まるで静寂の世界に射す一筋の光のようでした。きっかけはシンバルでしたが、一つの楽器にとらわれず、ジャズやロックなど、いろいろなジャンルで打楽器を演奏できるようになりたいと考えています。レパートリーを増やすために、大学の授業の実技試験で和太鼓を使う曲を選択した際は、演奏法を学ぶだけでなく、筋トレなどの体づくりから取り組みました。
音楽は「時間芸術」。一度演奏を始めたら、やり直すことはできません。一度きりの演奏でお客さんの期待を超えられるように、意味のない音を決して出さないように気を付けています。また、音楽は歴史と密接に関係しているので、演奏する曲が作られた背景をよく理解し、当時と現代の社会情勢の共通点や違いを意識しながら、どのような音量や音質で表現するのが良いかを考え、一音一音奏でることも大切にしています。

○こころ休まる原点
加須市には半年に1度くらいの頻度で帰省しています。音楽の世界での競争から離れて、フラットな感情で考え事ができるので、自分にとってとても大切な時間ですね。
お気に入りの過ごし方は、夕方、かつての通学路だった葛西用水路沿いを散歩すること。幼少期に見ていた景色、感じていた音やにおいなどに当時の感覚を呼び起こされつつ、頭を空っぽにして歩いていると、自分の中に張り詰めていた何かが取り払われるようで、落ち着きます。
また、地元の友人と一緒に過ごすことも多いです。互いの夢や頑張っていることを話すことで、刺激をもらえています。
先行きが不透明な今の時代だからこそ、音楽の力が必要となる場面がたくさんあると感じています。通勤や休日、いろいろな時間や気持ちのときに、音楽に耳を傾けてみてください。お気に入りの音楽を聴くのも良いですし、これまで聴いてこなかった新しいジャンルに触れるのもお勧めです。意外な発見や明日への活力がもらえることがありますよ。
私はまだ、夢への始発駅にいます。客観的に自分を見つめて踏みとどまることも大事ですが、慎重かつ大胆に、一歩一歩前に踏み出していくことが必要だと思います。共に夢に向かって前進していきましょう!

◆夢を応援する人
大学同期の友人　守谷優花さん
國分君は分け隔てなく人に優しく接し、コミュニケーション能力も高いことから40人ほどいる打楽器科をまとめる代表として周りから信頼されています。また、勉強熱心でさまざまな知識を持っているのに、それを鼻にかけることもなく丁寧に教えてくれる、素敵な人です。人それぞれ違う考えを持っていることを理解し、常に相手の立場になって考えているところも尊敬しています。
今は、夏のオーケストラのオーディションに向けて、授業の合間を縫いながらも懸命に練習していて、その姿には本当に憧れます。
私は、國分君が多方面で活躍してくれることを願い、今後も応援していきます。

■あのときがあるから、見ていてくれた人がいるから―
どんな大きな夢も、小さな一歩から始まります。初めから夢の全体像が見えているわけではなく、挑戦していく中で夢が変わったり、諦めたくなることもあるかもしれません。それでも、自分の可能性、未来を信じて踏み出していく、その一歩一歩の勇気に、周囲の人の心は動かされていきます。
あなたの夢が誰かの夢にもなるように、夢の途中に出会う人たちがあなたの背中を押すことがあるように、あなたの夢が誰かの背中を押すことが、きっとあります。
同じまちで過ごし、夢を育む私たち。かけがえのない一歩を、一緒に踏み出してみませんか。

■Check!夢☆未来応援事業
あなたの夢を、みんなの夢にしてみませんか。
誰かの夢を、一緒に応援してみませんか。

○夢チャレンジャー
募集期限：9月30日(月)
対象：市に住民登録があり、チャレンジしたい夢がある中学生から20歳までの個人
支援期間：最大3年間
支援内容：
・助成金1人当たり最大20万円
・夢を応援してくれる人とのつなぎ合わせ

○夢☆未来応援サポーター
募集期間：随時
対象：加須市の未来を支えていく若者の夢への挑戦を応援したいと考えている個人や団体、企業

申込方法や審査方法など、事業について詳しくは本紙13ページの二次元コードをご覧ください。

問合せ：市民協働推進課
【電話】内線347