■第133回 健康豆知識 『甲状腺の異常について』
甲状腺は首の前面・喉仏(のどぼとけ)の下にある蝶のような形をした臓器で、体の新陳代謝を促進している重要な二種類の甲状腺ホルモン(T4とT3)を分泌しています。甲状腺の病気にはそのホルモンの分泌(ぶんぴつ)異常と腫瘍性疾患(しゅようせいしっかん)があります。ホルモンの産生が多くなることを甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)といい、その代表がバセドウ病です。逆にホルモン分泌が少なくなることを甲状腺機能低下症といい、その代表が橋本病です。
バセドウ病では甲状腺は大きくなり(甲状腺腫(こうじょうせんしゅ))、目が内側から押し出されるように見える(眼球突出)、脈が速くなる(頻脈(ひんみゃく))が特徴ですが、新陳代謝の亢進により体重減少、発汗、手の震え、不整脈などもみられます。自律神経失調症や更年期障害と間違えられることがあります。橋本病で機能低下症になりますと甲状腺が大きくなり、全身の代謝が低下することにより無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、便秘、かすれ声などが生じます。うつ病や認知症と間違われることもあります。
いずれも自己免疫疾患で女性に多いのが特徴ですが、原因は不明です。正確に診断するために甲状腺ホルモンと脳下垂体(のうかすいたい)から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定する必要があります。バセドウ病と橋本病の診断には甲状腺自己抗体を測定します。いずれも血液検査で分かりますのでかかりつけ医にご相談してください。
甲状腺の腫瘍性疾患については血液検査では分かりませんので画像検査、特に超音波検査をする必要があります。甲状腺ホルモンの主原料は海藻類に含まれるヨウ素(ヨード)です。必要なヨウ素は取らなければなりませんが、ヨウ素の多い昆布を毎日食べ過ぎたり、ヨウ素含有のうがい薬を多用すると、甲状腺ホルモンが作られなくなり甲状腺機能低下症となることがありますので注意が必要です。甲状腺は触れないのが正常ですので触れれば大きいのでかかりつけ医にご相談して下さい。
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