広報担当者が独自に取材した地域の取組み、活動等についてお届けします。
■緊迫の3時間 北里大学メディカルセンターで多数傷病者受け入れ訓練開催
災害発生時には被災患者等の受入拠点となる北里大学メディカルセンター。10月9日、同病院で多数傷病者受け入れ訓練が開催されると聞き、取材に伺いました。
訓練の想定は、県内で震度6弱以上を観測する首都直下型地震。普段は外来受付になっているスペースも、待合ベンチを片づけて傷病者を運ぶベッドが並べられ、平時とは大きく様変わりしていました。救急外来は、赤タグ(最優先治療群)(※)エリアとして医師・看護師・事務職員が連携し医療処置や患者の情報共有体制、酸素ボンベや人工呼吸器等の設置などを入念に確認しています。エリアのリーダー・加藤智之さんからは「『診断をつけよう』じゃなくて『助けよう』と考えてください!」との声かけがあり、実際の災害さながらの緊張感が走ります。
そして、ついに看護学生等による傷病者役が次々と搬送。氏名、脈拍、血圧などを告げられ、ベッドごとに医師・看護師が集まります。医師が患者の状態を評価し、優先的に対応すべき事項を共有。必要に応じて、レントゲンやエコー検査器具なども運ばれていきます。緊急手術のため、トランシーバーで本部へ外科医の派遣を依頼するシーンもありました。
この訓練には、埼玉県央広域消防本部や北本市社会福祉協議会も参加しています。「災害時にスムーズに連携できるよう、平常時から顔の見える関係を作るのが目的なんです」と病院の柳沼亮一さんが話してくださいました。
社会福祉協議会は、院内に災害ボランティアセンターを開設。病院からの要請に応じてボランティアを派遣します。「7つのエリアにだれが何時にどこへ派遣されたのか記録を取っているんです」と社会福祉協議会の小倉明美さんは話します。ここで活躍するボランティアは、事前に登録のある北本市民の皆さん。支援物資の運搬や患者の搬送など、病院職員に混ざって忙しく活動していました。
朝9時から訓練を開始し、正午に終了するまで、終始緊迫した空気が流れた北里大学メディカルセンター。見学者も真剣な表情で見守り続け、災害時の医療について地域で考える3時間となりました。
※災害時は、多数の傷病者が発生するため、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決定します。この対応をトリアージと言い、治療優先順位に応じて識別色が定められています。「赤タグ」は、トリアージにおいてもっとも治療優先順位が高い重傷者が該当します。
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