近年、地域や家族などの「つながり」が希薄化し、生活課題を抱えながらも相談する相手がなく、「生きづらさ」を感じている人が増えています。市は、こうした人たちに寄り添い、伴走していくため、重層的支援体制の整備に取り組んでいます。
子どもも高齢者も障がいのある人も、全ての人々が地域で自分らしく暮らせる社会を――これが、地域共生社会の考え方です。この実現には地域に暮らす人たちの多様で複雑な悩みに寄り添い、包括的に支援する体制が不可欠です。この体制を構築するのが、「重層的支援体制整備事業」です。
■重層的支援体制整備事業とは
近年、「8050」世帯(高齢の親と事情により自立できない子からなる世帯)、ダブルケア(育児と介護が重なること)の世帯、ごみ屋敷の世帯、ヤングケアラーの世帯など、新たな支援が必要とされる世帯と従来の支援体制にギャップが生じてきています。
これを解消するのが、重層的支援体制整備事業です。市全体の支援機関・地域の関係者が相談を断らず受け止め、つながり続ける支援体制を構築することをコンセプトに、「属性を問わない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」を一体的に実施しています。これにより、「相談支援」で浮かび上がったニーズを、「参加支援」や「地域づくり」を通じて地域資源につなげる、といった相互作用を生み出すことを目指しています。
市では、重層的支援体制整備事業として5つの事業を組み合わせながら相談者の課題解決に取り組んでいます。
■実際の相談・支援ケース
◇ケース1 当事者からの相談
「仕事を始めたいけど引きこもりの期間が長くて就労できるか不安…」
参加支援事業や地域づくり事業により、就労に向けたステップアップの機会を提供。自分の得意不得意を知ったうえで就職活動中。
◇ケース2 支援者からの相談
「関わっている世帯に食事が摂れず病院受診が難しい人がいて…」
アウトリーチ事業や多機関協働事業を実施。医療機関とも連携しながら少しずつ困りごとを解消し、真に自立した生活に向けて関わりを継続中。
■福祉総合相談窓口
複雑化・複合化してしまい、「どこに相談していいかわからない」悩みを解きほぐし、解決策を一緒に考え、他の支援機関につないだり、課題解決に向けて伴走支援をしています。
時間:平日8:30~17:15
場所:共生福祉課(市役所1階)
◇01.包括的相談支援事業
複雑な悩みに寄り添い、解きほぐし、伴走支援する
・「福祉総合相談窓口」を開設しています
・属性や世代を問わず、包括的に相談を受け止めます
・複雑化・複合化した問題の解決に向けて、各事業の活用を検討します
◇02.アウトリーチ事業
支援が行き届いていない人へ届ける
・支援が行き届いていない人に対し、訪問しながら支援を届けます(令和5年度・10件)。
・支援機関のネットワークの中から潜在的な相談者を見つけます。
〔事業委託先〕合同会社笑夢(えむ)
◇03.多機関協働事業
関係機関と連携・協働する
・医療機関や社会福祉協議会、民生委員・児童委員協議会など、すでに関わりのある機関やこれから関わりを持ってほしい機関を招集し、情報共有の場を設けます。
・市役所の関係各課をはじめ、民間支援機関とも連携しながら困りごとの解消や支援につながるよう働きかけます。
・支援機関の役割分担を図ります。
◇04.参加支援事業
社会とのつながりづくりを支援する
・活動や参加に難しさのある人やその家族が社会と接続する機会を設けています。
・利用者のニーズを踏まえた丁寧なマッチングを心掛けます。
・「学齢期から青年期までの不登校・ひきこもり親の会」を複数回開催しています(次回開催予定…3月23日(土))。
〔事業委託先〕NPO法人北本福祉の会かがやきの郷
◇05.地域づくり事業
世代・属性を超えた居場所をつくる
・世代や属性を超えて交流できる場や居場所の設置に取り組んでいます。
■まずは、お気軽にご相談ください。
共生福祉課では、専門の相談員が日々、窓口でさまざまな相談をお受けしています。
お一人おひとりの悩みに寄り添いながら、適切な支援機関と連携し、その人本来の強みや個性を伸ばし、より良い暮らしを実現していけるよう伴走支援していきます。
ご相談したいことがありましたら、まずは福祉総合相談窓口までお問い合わせください。
解決に向けてできることを一緒に考えましょう。
お問合せ:共生福祉課地域共生担当
【電話】594-5517【FAX】593-2862
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