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【新春対談】子どもたちが持つ無限の可能性-未来を切り拓く教育によるまちづくり-(1)

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埼玉県富士見市

埼玉大学教育学部 心理・教育実践学講座 准教授 野村 泰朗
「ロボコンがきっかけでまちを好きになり、このまちを良くしたいという想いが問題解決につながる」

跡見学園女子大学心理学部 臨床心理学科 准教授 小栗 貴弘
「大学生という身近なロールモデルを通じて、会話や遊びから社会とつながってほしい」

帝京大学医療技術学部 看護学科母性看護学 助教 中 理恵
「『生まれてきた自分ってすごいんだ』―自尊感情を高めて自分を信じる力を育みたい」

富士見市長 星野 光弘
「子どもたちには元気に育ち、夢をつかんでほしい」

■より良い教育、特色ある教育で進めるまちづくり
市長:STEM(ステム)教育でご協力いただいている野村泰朗(たいろう)准教授、個別支援が必要な児童生徒の教育相談でご協力いただいている小栗貴弘准教授、「いのちの授業」でご協力いただいている中理恵助教のお三方におかれましては、富士見市の教育分野に多大なご協力をくださり誠にありがとうございます。
本日は、本市の特色ある教育にご協力いただいております先生方をお招きし、教育の現状などを伺い、子どもたちの可能性を広げ、子育てしやすく住みよいまちづくりに生かしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

野村:富士見市でSTEM教育の実践を始めて5年目になります。これまでの活動を通して、教育の本来のあり方とは、まちづくりのため、市民の皆さんの生活のためにどのような教育が必要かを考えていくことだと改めて気付かされました。これからの時代に必要なものとしてコンピューターやAIが注目されていますが、先端情報技術を学びながら、地域を知り、未来を考えていくことが重要です。現場の先生方と一緒に考え実践してきたSTEM教育は、今年度から市内小学校すべてで実践することになりました。また児童の腕試し、目標となる場として小学生ロボコン・富士見市大会も開催することができました。これまでの取組みを重ねてきた土壌が少しずつ整ってきたことで、主体性と問題解決能力の向上や今後の新たな展開への可能性を感じています。

小栗:個別支援が必要な児童生徒の教育相談や、スチューデントサポーターとして臨床心理学科の学生の派遣など、今年度から富士見市の教育に関わらせていただいています。ここ数年は全国的に不登校の子どもが増加しており、昨年度は全国で約30万人に上ります。こうしたなかで文部科学省としては、登校・不登校を問わず、社会的自立を達成することを最終的な目標としています。もちろん不登校の背景にある問題を放置するのではなく、子どもたちの困りごとをどう解決するかを考える必要があります。私は、社会的自立には身近な存在である学生の姿がロールモデルになると考えています。本学の学生たちには子どもの憧れの存在になってほしいと思っており、子どもたちとの関係性のなかで、社会参加につなげていきたいです。富士見市では今年度から学生の派遣を始め、効果が表れてくるのを期待しているところです。

中:私は助産師としての経験を生かし、平成23年の東中学校から始まった「いのちの授業」に携わっています。一年に一度の機会で行う「いのちの授業」では、導入当初から自尊感情を高めたいという目的がありました。それは日ごろ子どもたちと接している先生方が自尊感情を高める必要性を感じているからこそであり、毎年現場の先生方の声を聞き内容をブラッシュアップし、一緒に作り上げています。私は、子どもたちが将来自分で選び決められる人になってほしいと思っています。自分で自分を認められること、世の中で必要とされている実感があるからこそ、自立につながっていくと考え、自尊感情の向上に取り組んできました。「いのちの授業」をきっかけに、先生方や保護者の力も借りながら、子どもたちの生活を豊かなものにしていきたいと思っています。

市長:市長の役割として、このまちを発展させるため、どのように子育て世代に富士見市を選んでいただくかを考えたときに、子どもたちにより良い教育、特色ある教育を提供する環境を整えることで、富士見市を子育て地に選んでいただけるのではないかと考えました。
初めてSTEM教育の体験会を実施した際には応募が定員の倍を超えるなど反響がとても大きく、現在は全小学校で取り組むところまできました。また、これまでも不登校への対応に尽力してきましたが、コロナ禍(か)で子どもたちの状況も一変しています。心理学の専門的知見を得ながら、今後も取り組んでいきたいと思います。そして自尊感情の向上においても、家族や先生、地域の皆さんに見守られていると子どもたちが感じられ、社会とのつながりであるソーシャルキャピタルをつくることが必要だと思っています。
三人の先生をはじめ教育に携わる皆さんが支えてくれる心強さを感じ、子どもたちにより良い教育を提供できるまちづくりを進めていきたいと思っています。

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