■社会で子どもを支える里親制度
子どもの健やかな成長にとって、家庭的な環境のなかで愛情を受けて育つことはとても重要です。一方、親の病気や虐待など、さまざまな事情により家族と離れて暮らす子どもは全国に約4万2千人、県内には約2千人います。その多くは、乳児院や児童養護施設で暮らしており、親からの愛情を十分に受けることができずにいます。
里親制度とは、そうした状況にある子どもたちを家族の一員として迎え入れ、温かい愛情と家庭的な雰囲気のなかで育てていくための、児童福祉法に定められた養育委託の制度です。里親制度は養子縁組を前提とする「養子縁組里親」、社会的養護が必要な子どもを一定期間養育する「養育里親」、専門的ケアを必要とする子どもを養育する「専門里親」、祖父母といった親族が養育する「親族里親」の4つに分けられます。
■実親家庭を支える短期の預かり支援も必要
皆さんは「里親」と聞くと、4つの里親のうちどれを思い浮かべましたか。講座を受講された方などの声では、養子縁組を前提として里親制度を捉えることが多いようです。また、里親になるためには経済的なゆとりや生活環境、年齢など、さまざまな条件があり、とても敷居が高いものだと感じているかもしれません。
法的な親子関係を結ぶことを前提とした長期間の養育だけではなく、例えばひとり親で預け先がない場合や、親が病気で入院する間など、短期間での預かり先として養育里親の存在があります。子どもの置かれている状況やニーズはさまざまで、里親登録を増やしていくことが必要です。実親家庭をフォローする養育里親のカタチは、子どもの成長を地域社会で支える制度の一つです。
里親制度への理解を深め、子どもたちの未来をともに支えていくことを考えてみませんか。
■里親になるための要件
いくつかの要件を満たしていれば、特別な資格は不要です。また、原則子育て経験がなくても里親になることができます。
・さまざまな事情がある子どもについての理解や熱意、愛情があること
・経済的に困窮していないこと
・県が行う所定の研修を修了していること
・本人または同居人が欠格事由(児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰を受けた者や児童虐待を行った者など)に該当しないこと など
■子どもを支える里親のカタチ
◆養子縁組里親(養子縁組を希望する里親)
将来的に養子縁組を希望し、養子縁組の必要な子どもを養育する里親
※里親としての期間は養子縁組が成立するまでです。
養子縁組を結ぶには、子どもが成人する時点でおおむね65歳以下の方が理想とされています。
○法律上の親子関係の違い
養子縁組を結ぶことで法的な親子関係があります。養子縁組には「特別養子」と「普通養子」の2種類があり、実親との親子関係や戸籍の記載内容などが異なります。
◆養育里親
養子縁組を目的とせず、社会的養護が必要な原則18歳未満の子どもを一定期間(数日~数年)養育する里親
養育期間は数日から数年とさまざまです。子どもにとって必要な期間を児童相談所が決定します。
○法律上の親子関係の違い
児童福祉法に基づいて、行政(県)が里親に養育を委託しているため、法的な親子関係はありません。
◆専門里親
非行の問題や虐待経験、障がいのある子どもなど、専門的ケアを必要とする子どもを養育する里親
※養育里親として3年以上の養育経験などが必要です。
◆親族里親
両親が死亡、行方不明などにより養育できない子どもを扶養義務者およびその配偶者(主に祖父母)などの親族が養育する里親
◆里親家庭を支援
・児童相談所、里親支援機関(相談・サポート、研修などを実施)
・先輩里親の方々(交流の場での相談・サポートや情報交換などで支援)
・市の子育て機関(実親家庭と同様の子育て支援を実施)
■里親になるためには
◆里親登録が必要です
里親になるためには里親登録が必要です。登録までにおおむね半年~1年程度かかります。登録後は児童相談所が子どもに合った里親を検討し、子どもの受け入れ前に一定の交流期間を設けています。また、正式に里親委託した後も管轄の児童相談所などがさまざまな相談やサポートを行います。
問合せ:
川越児童相談所 里親推進担当【電話】049-223-4152
社会福祉法人同仁学院 里親支援事業(乳児院さまりあ内)【電話】042-980-7780
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