■遊休農地対策について
人間が生きていくうえで基本となるのが食料や水です。今年の8月のお盆頃から9月にかけて南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の影響や昨年の米の不作などもあり米不足の状況が発生し、店頭から米がなくなる事態が発生したことは皆様の記憶に新しいことかと存じます。
現在、日本の食料自給率は低迷が続いており、農林水産省が公表した2023年の自給率はカロリーベースで38%で、前年度から横ばいで政府の目標としている45%には届かない状態となっています。この足りない分は輸入に頼っているのが現実で、ロシアのウクライナ侵攻など世界各地で紛争が続き、世界的には人口増加や気候変動などが加わり、日本の食料輸入事情も不確実性が一段と高まってきています。
このような状況を踏まえ国では食料自給率を上げ、食料安全保障の強化を図るため、25年ぶりに「食料・農業・農村基本法」を改正しました。
ところで、本町の農地面積は令和6年3月現在の調査で約1,250haで、その内約23%、約287haが遊休農地となっております。このような状況の中、農業経営基盤強化促進法の改正に伴い、令和5年4月から地域農業の在り方を示した「人・農地プラン」が「地域計画」に名称が変わり、目標地図の作成が義務づけられました。この目標地図は人口減や高齢化による遊休農地を食い止めるのが狙いであり、地域での話し合いを通じて、10年後の農地の担い手を定めるものです。
町でも、集落の代表者や認定農業者、農地所有者や農業委員等を交えて望ましい将来の姿について話し合い、本年度、目標地図の作成に向けて取り組んでまいります。
また、遊休農地対策として町では独自に遊休農地活用補助金事業を実施し、遊休農地を再活用できるよう、柿やカボスなどの特産品の苗木や肥料の購入、荒廃農地の伐採・抜根などに要する費用の一部を補助しております。令和5年度は7人がこの補助制度を活用し、うち5人がカボスの苗を植え、約1haの遊休農地の解消が図られました。
更に、本町ではブランド力のあるきゅうり栽培において、国の補助金等を活用した新規就農者が増えてきております。引き続き、町独自の新規就農者等支援事業により、認定新規就農者や認定農業者を支援してまいります。近年の資材等の高騰により農業への参入が難しくなっている状況を鑑み、令和6年度より新たに補助金上限額を引き上げ(例:認定新規就農者の補助上限額を150万円から200万へ)、新規就農者等の就農支援を行っています。
本町の様に中山間地では、まとまった広い農地の確保が難しいため、農業所得が見込める施設園芸農業が町の今後の農業発展の方向性であると思っています。
小鹿野町長 森 真太郎
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