■竜がつなぐ天と地・過去と未来
今月号の4ページにアートプロジェクトの記事が掲載されています。今回も、尾ノ内沢に棲むとされる龍をテーマにしたストーリーでサーカス歌舞伎が上演されます。
河原沢の龍頭神社は、「りゅうとうじんじゃ」と呼ばれていますが、「りょうかみじんじゃ」が正しいともされています。
両神山を源流とする尾ノ内沢が、赤平川と交わるところに里宮が鎮座し、奥宮は両神山の剣ヶ峰から北の東岳と西岳の中間鞍部にあります。
地名の由来は、両神山の山頂部が竜の形に似ているため、両神山を竜の頭とし、尾の先端を赤平川との合流点として、その間が御神域である竜の尾の内容:「尾ノ内」とされています。
尾ノ内渓谷には、一番滝、笛吹きの滝、クサリ場下の滝、油滝など大小様々な滝があります。かつては、雨乞いも盛んに行われており、油滝で降雨祈願を行い、その後氏子総出で藁で作った竜を担ぎ「雨だんべー海竜様」と囃子ながら氏子区域を回る壮大なものであったとされています。
このように、竜は天と地をつなぐ役割をもち、水を司る水神として祀られる信仰が日本各地にみられます。
祭り屋台の鬼板や天井画など天に近い場所の装飾には、竜が用いられます。「柴崎日記」明治26年(1893)8月7日の雨乞いの記述のなかで、「~春日町は屋台彫物之龍を出し~」と記されており、雨乞いに竜の彫刻を持ち出していることがわかります。
また、三山下郷では、県内で残っている記録では一番最後となっていた昭和30年代まで雨乞い行事が行われていたとされます。この行事の記録保存のため、昭和57年6月27日に20年ぶりに雨乞い行事が行われ、雨乞いの竜「八大龍王」も作成されました。当時の広報おがの昭和57年8月号の表紙にも、この竜の写真が使われています。
その翌年には、テレビ埼玉からの依頼があり、改めて雨乞い行事が行われ竜も制作されました。この時に制作された竜は、貴重な民俗資料として町で大切に保管されてきました。
今回のサーカス歌舞伎では、特別にこの竜「八大龍王」が皆さまの前に42年ぶりに姿を表します。
町に伝わる民俗伝承と新たな取組であるサーカス歌舞伎が融合することにより、長く郷土に伝わる行事を知っていただくきっかけになると、保存継承の新たな取組になります。
地域文化のコラボレーションにぜひご期待ください。
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