動物を飼うことは、動物の命を預かることを意味しており、飼い主は動物が健康で快適に暮らせる環境をつくるとともに、近隣に迷惑をかけることのないよう適切に飼育する責任があります。
最期まで愛情を注ぎ続け、人と動物がともに生きていける社会を実現するためには、飼い主のマナーとモラルが必要です。
この機会に、動物について理解し、人と動物の共存について考えてみましょう。
■埼玉県動物指導センターの現状
□相談件数
猫などの動物に関する飼い方や引き取りの相談のほか、猫の苦情などを受け付けています。
令和2年度:9,622件
令和3年度:8,707件
令和4年度:8,069件
令和5年度:8,047件
□犬や猫の殺処分頭数
保健所に収容された犬や動物指導センターに収容された猫のうち、公示期間を過ぎても、もとの飼い主が見つからず返還できなかったり、重度の疾病などで苦しんでいる犬や猫のほか、人に危害を与えてしまうおそれがあり、譲渡できない犬や猫は殺処分の対象となってしまいます。
令和2年度:675頭
令和3年度:339頭
令和4年度:208頭
令和5年度:83頭
■人と動物が共存できる豊かな社会を目指して
埼玉県動物指導センター南支所で、主に猫などの動物に関する相談の受付や動物愛護の普及啓発などの業務を行う江原さんに話を伺いました。
動物指導センターでは、相談のあった飼い主に対して、正しい動物の飼い方や接し方を指導しているほか、動物とのふれあいを通じて命を尊重する心を育てるために「どうぶつ愛護教室」などの講座を開催し、動物愛護や動物福祉に関する理解を深めるための啓発活動を行っています。
啓発活動などの効果もあり、年々相談件数や殺処分頭数は減っているものの「噛み癖がついてしまった」「鳴き声がうるさい」「老齢や病気にかかってしまった」などの理由により、ペットを手放そうとする飼い主も少なくありません。
ペットを飼う際には、愛らしいしぐさや散歩の楽しみなど良いことばかりに想像を膨ませがちですが、自身に起こりうる生活の変化やペットが病気にかかった場合を踏まえ、最期まで責任を持って飼い続けられるかを今一度考えたうえで、家族の一員として迎え入れていただければと思います。
■守ってほしい4つのこと
□動物の習性や寿命などを正しく理解する
飼う前に動物の習性を学び、10年先や20年先を見越したうえで最期まで責任を持って飼育しましょう。
□人に危害を加えたり、近隣に迷惑をかけない
鳴き声やにおい、ふん尿の放置などで、周囲の生活環境を悪化させないようにしましょう。散歩中のふんは、飼い主が責任を持って持ち帰りましょう。
□むやみに繁殖させない
飼い主が動物にかけられる時間や手間、空間には限りがあります。複数飼う場合は適切に飼育できる頭数までとし、繁殖を望まない場合は不妊・去勢手術を行いましょう。
□盗難や迷子を防ぐため、所有者を明らかにする
飼い主が分かるよう、名札を付けましょう。災害など思いもよらない出来事がきっかけで迷子になったときにも役立ちます。
また、飼い犬には、鑑札及び狂犬病予防注射済票の装着が義務付けられています。猫は、外飼いをすると感染症などの病気にかかりやすくなるため、室内で飼育しましょう。
■志木市の取り組み
市では、犬や猫の殺処分削減に貢献するため、令和5年度から「犬・猫の譲渡会」や「さくらねこ無料不妊手術事業」を実施しています。
□犬・猫の譲渡会
埼玉県動物指導センター南支所や埼玉県登録団体の協力のもと、志木市役所を会場として、譲渡会を年2回実施しています。
譲渡会に参加する犬や猫は、過去に悲しい経験をしていることが多いため、愛情と責任を持った思いやりのある新たな家族に巡り合えるようサポートしています。
*過去に開催した譲渡会を経て、譲渡に繋がった頭数
令和5年6月実施:猫4頭
令和5年11月実施:犬3頭、猫2頭
令和6年6月実施:猫1頭
□さくらねこ無料不妊手術事業
(公財)どうぶつ基金が主体となって行っている不妊手術・ワクチン・ノミ駆除薬の無料事業に志木市も協働ボランティアとして参加し、市内ボランティア団体とともに、飼い主のいない猫に対してTNR事業〈Trap(捕獲)、Neuter(不妊手術を行い、その印として耳先を桜の花びらのようにV字にカットする)、Return(もとの場所に戻す)〉を実施しています。
この活動を通して繁殖を防止し、「地域の猫(さくらねこ)」として一代限りの命を優しく見守りながら、飼い主のいない猫に関する問題を殺処分ではなく、不妊手術として解決できるよう努めています。さくらねこTNRについて詳しくは、(公財)どうぶつ基金ホームページをご覧ください。
問合せ:環境推進課
【電話】048-473-1492
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