~園長おすすめ アマミトゲネズミ~
■7年越しの初展示
田中理恵子(たなかりえこ)園長
奄美大島を訪れたことがありますか? 2021年に世界自然遺産に認定されたこの島で一番有名な野生動物といえば「アマミノクロウサギ」ですよね。青い海と深い原生林が広がる森には、ほかにも多様な生き物が暮らしています。
一見ただのネズミに見える「アマミトゲネズミ」もこの島の固有種です。1950年代以降、森林伐採や人が持ち込んだ猫やマングースの野生化によって生息数が激減してしまいました。その後、環境省による捕獲調査やマングースの駆除などで少しずつ回復していきました。そして2017年からは国内の数か所の動物園で野生個体を飼育し、保全に向けたデータをとりましょうという計画が始まりました。げっ歯類の飼育実績が多い当園がその動物園の1つとして選ばれ、バックヤードでの飼育がスタートしたのです。静かな環境の中で、餌の量や種類、温度管理や日照時間などを探りながら飼育が始まりました。毎年、奄美大島のこどもたちから大好きな餌のドングリ(スダジイの実)も送ってもらっています。その熱い思いや努力が実り、約2年後に繁殖が成功しました。
その後も順調に子が生まれ、他の動物園でも安定した飼育管理と繁殖が見られているので、「この4月には、皆さんにその姿を見てもらいましょう!」と関わった動物園が同時に一般公開をすることになりました。
展示場所はげっ歯類がメインの「エコハウチュー」。他のネズミの仲間と見比べながら、奄美大島の深い森に暮らす彼らに想いを馳せてください。
くれぐれも「なんだ、ネズミか」と言って通り過ぎないように!
※6月号は植物ZOO鑑です。
○埼玉県こども動物自然公園
〒355-0065 岩殿554
【電話】35-1234【FAX】35-0248
※開園時間等はホームページをご確認ください。
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