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特集 市内の国指定重要文化財(4)

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埼玉県東松山市

■その他の国指定重要文化財
○大谷瓦窯跡(おおやかわらがまあと)(史跡)昭和33年10月8日指定
丘陵の東面、標高40~45mに位置する大谷瓦窯跡は、昭和30(1955)年5月に2基の窯跡の発掘調査が行われました。2基のうち、1号窯跡は良好な状態で発見されました。天井部は失われていましたが、焚口部(たきぐちぶ)・煙出(けむりだ)し部をそなえており、約30度の傾斜をもつ総長約7.75m、幅中央部で約1.10mの大形ではあるものの、狭く長い形状をしています。また、焚口部分は幅60cmで、平瓦(ひらがわら)を立てて補強していることに特徴があります。窯の主体部の床面は13段の階段状を呈する登り窯です。
瓦の製造は、寺院建築とともに始まったものです。出土遺物は、軒丸瓦(のきまるがわら)、平瓦、丸瓦(まるがわら)で、大化(たいか)元(645)年から和銅3(710)年までの白鳳時代(はくほうじだい)に操業した瓦窯跡と考えられます。この窯で生産した瓦がどこの寺院に供給されたかはわかっていませんが、武蔵国の仏教伝来を伝える貴重な遺跡です。
所在地:大谷2192-1

○光福寺宝篋印塔(こうふくじほうきょういんとう)(建造物)昭和28年8月29日指定
宝篋印塔は供養塔の一種です。岡の光福寺境内の収蔵庫に保管された高さ2.1mの宝篋印塔は、塔身(とうしん)の基礎部分に造立の趣旨が彫られ、そこから元亨(げんこう)3(1323)年に沙彌閣阿(しゃみかくあ)が施主となり、藤原光貞(ふじわらのみつさだ)と比丘尼妙明(びくにみょうめい)の供養のために建てられたことがわかります。
宝篋印塔は鎌倉時代中頃から造立されはじめ、鎌倉時代後半頃から地域差が表れ、関西型、関東型と区分されていますが、光福寺の宝篋印塔は、関東型と関西型の特徴を併せ持った特殊なものです。そのため藤原光貞らが京と関わりが深い人物であった可能性が指摘されています。
また明治19(1886)年、武蔵国大里郡冑山村(むさしのくにおおさとぐんかぶとやまむら)(現・熊谷市)の郷土史家であった根岸武香(ねぎしたけか)が記した「武蔵国比企郡岡郷光福寺宝篋印塔之記(むさしのくにひきぐんおかごうこうふくじほうきょういんとうのき)」によると、塔を釈迦堂の前に移した際、塔の中から銀と水晶製の舎利塔(しゃりとう)、塔の下から壺(つぼ)が出土したとされ、昭和52(1977)年に収蔵庫建設に伴って行われた修復工事・関連調査の際にも、同様に塔身から銀と水晶製の舎利塔、台座下部から白磁四耳壷(はくじしじこ)が確認されました。この壺は14世紀前半に作られた中国製の陶磁器で、蔵骨器(ぞうこつき)として用いたと考えられます。出土品は一括して、「光福寺宝篋印塔出土品」として埼玉県指定文化財(有形文化財・考古資料)に指定されています。
被葬者の権力の象徴となるこれら出土品の存在は、宝篋印塔と併せて、藤原光貞ら、武士たちが当時相応の力を持っていたことを示しています。
所在地:岡498

○木造阿弥陀如来坐像(もくぞうあみだにょらいざぞう)(美術工芸品・彫刻)昭和3年8月17日指定
古凍の等覚院(とうかくいん)にある木造阿弥陀如来坐像は、ヒノキ材を用いて、頭・体幹部に前後二材を寄せ、その他各部に別材を寄せた寄木造(よせぎづくり)と呼ばれる技法で造られています。眼は木に彫り込まれた彫眼(ちょうがん)で、肉身(にくしん)には像の表面を金色に仕上げるための漆箔(しっぱく)を施しています。また仏像の内側(内刳(うちぐり))が薄く丁寧に仕上げられている点や、丸顔で、頭頂部(肉髻(にっけい))が高く盛り上がっている点などに平安時代後期の特徴が見えますが、若々しい顔の張りや目尻の切上(きりあが)り、深くはっきりした衣文線(えもんせん)には、鎌倉時代の特徴もうかがえます。
昭和26(1951)年に解体修理を行った際に胎内(たいない)から墨書銘(ぼくしょめい)が見つかり、建長5(1253)年4月に大檀那阿闍梨明秀(だいだんなあじゃりみょうしゅう)が広く資金を募り、大佛子(だいぶっし)(師)僧定性(そうじょうしょう)に修理させたことがわかっています。
これまで12世紀末から13世紀初頭頃に造立されたと考えられてきましたが、胎内銘に記された「修理」という言葉には、当時「造る」という意味もあることなどから、建長5(1253)年こそが造立年であるとみることができます。
毎年10月15日に、寺と地元有志で御開帳が行われています。
所在地:古凍536-1

■より詳しく文化財を知る
○埋蔵文化財センター
埋蔵文化財センターは、埋蔵文化財発掘調査で出土した土器や石器などの遺物を保管、整理し、公開するために平成10(1998)年に開設された施設です。展示室では、市内の遺跡から出土したものを展示しています。文化財の収蔵保管をはじめ、文化財に関する手続き、文化財の保存・活用への取組も行っています。
開館時間:平日午前8時30分~午後5時15分(展示室…午前9時~午後4時30分)
所在地:下野本528-1

特集に関する問合せ 埋蔵文化財センター
【電話】27-0333【FAX】27-0334

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