■水鳥(みずどり)を冠(かん)した人物埴輪(じんぶつはにわ)
鳥形(とりがた)の被(かぶ)り物(もの)を被った男子(だんし)が、左脇(ひだりわき)に何(なに)かを抱(かか)え、右手(みぎて)を前方(ぜんぽう)に向(む)かって差(さ)し出(だ)し、手招(てまね)きしています。腰(こし)の後(うし)ろにはT字形(じがた)の袋(ふくろ)のようなものが下(さ)がっています。被り物から、鳥飼人(かいにん)か鳥を操(あやつ)る人物を表現(ひょうげん)したと考(かんが)えられます。このことから、この埴輪を「脇に抱えたものから餌(えさ)をまいて鳥を呼(よ)んでいる」とするのか。あるいは、古代(こだい)の英雄(えいゆう)ヤマトタケルが亡(な)くなった後(あと)、白鳥(はくちょう)になって飛(と)んで行(い)ったとの伝説(でんせつ)から、死者(ししゃ)の霊(れい)を白鳥に見立(みた)て「死者の魂(たましい)を呼び寄よせ、馬(うま)に乗(の)せて導(みちび)いていく役目(やくめ)を担(にな)った者(もの)」なのか。神(かみ)や精霊(せいれい)とやり取(と)りを行(おこな)うシャーマンが鳥装(ちょうそう)をする例(れい)もあることから「鳥の装(よそお)いをし、古墳(こふん)に近(ちか)づく邪霊(じゃれい)を袋に封(ふう)じようとしている護人(まもりびと)」なのか。いずれにしても、このような造形(ぞうけい)の埴輪は他(ほか)に例がなく、古代の謎(なぞ)の解明(かいめい)が期待(きたい)されます。
※写真等は、本紙28ページをご覧ください。
問合せ:埋蔵文化財(まいぞうぶんかざい)センター
【電話】27–0333【FAX】27–0334
<この記事についてアンケートにご協力ください。>