■最新の技術と職人技の融合により、精巧な木造阿弥陀如来坐像のレプリカが完成!
文化財としての重要性を鑑みて、ご所蔵の泉福寺で大切に安置されている国指定重要文化財「木造阿弥陀如来坐像」。今回、歴史民俗資料館のリニューアルの目玉として、阿弥陀如来坐像のレプリカを作成・展示しました。
鎌倉時代の仏師もびっくり!仏像のレプリカができるまでの全貌を公開します。
◇レプリカができるまで
1.形を測る
阿弥陀如来坐像の測定には、レーザーを照射して対象物の形をスキャンする計測機器が使われました。作業は回転台の上に仏像を安置して、少しづつ回してレーザーを当てる場所を変えながら計測を行います。計測したデータをコンピューター上で合成し、仏像の全体像(3Dデータ)を作ります。
2.形を作る
計測したデータをもとに、3Dプリンターで仏像の形を出力します。「光造形出力」ともよばれるこの作業は、樹脂を紫外線によって固めていくことにより、形が作られていきます。
今回は「頭部」「胸部」「右下半身」「左下半身」の4つのパーツに分割して製作しました。
3.組み立てる
4分割された阿弥陀如来坐像は、接着剤で組み上げられます。接着剤で接合しただけでは壊れやすいため、内部に樹脂を塗る「裏打ち」という作業や補強材を仕込むことで強度を上げます。
接合作業が終わった仏像は、次の彩色作業に向け、やすりで磨かれ、表面が整えられます。
4.色を塗る
組み上がった阿弥陀如来坐像に手作業で色を塗ります。カメラで撮影した高解像度の写真だけでなく、現場で実物を見ながら作成した色見本を基に、アクリル絵の具を調色し、色を塗ります。また、金箔部分は本物の金箔を使用し、風合いを再現しています。
◇学芸員の想い
この仏像は、桶川の歴史を語るうえで欠かせないものです。
鎌倉時代において、女性たちとその息子が発願して作られたという大変珍しい背景があります。
この貴重な仏像を「多くの人に拝観してもらいたい!」という反面、「信仰対象の仏様を複製するのは…」という考え方もあり、様々な葛藤がありましたが、関係者の皆さんのご協力により、レプリカ作成に至りました。
後世に歴史を継承する一助となれば幸いです。
■貴重な文化財は、まだまだあります
展示ホールと展示室
◇展示テーマは「台地と道」
原始・古代から現代に至る桶川の歴史と文化を現在に伝わる文化財を用いて紹介しています。
○情報コーナー
歴史民俗資料館の展示や講座などの情報をデジタルサイネージを用いてお知らせします。
○トピック展示常設展示や企画展示と合わせて桶川のトピックとなる資料を展示します。
I.台地とともに
桶川市内で出土した原始・古代の土器や石器などを展示します。
高井遺跡集落復元模型や大宮台地模型を使ったデジタル展示や国指定重要文化財の後谷遺跡出土品などを紹介します。
II.拓かれる台地
桶川市内で出土した土器や板石塔婆などを用いて、古代から中世の桶川を紹介します。
国指定重要文化財の木造阿弥陀如来坐像の複製などを展示します。
III.街道と台地のくらし
桶川市の歴史で欠かすことのできない桶川宿と紅花を中心に、近世桶川のあゆみを紹介します。
桶川宿町並み模型を使ったデジタル展示や市指定文化財「桶川宿古絵図」などを展示します。
IV.受け継がれる民俗
桶川市に数多く伝承されている民俗行事を大型スクリーンに投影して、臨場感あふれる芸能や祭りなどを紹介します。
※詳しくは本紙をご確認ください。
開館時間:午前9時~午後4時30分(月曜休館)
住所:川田谷4405-4(川田谷生涯学習センター内)
【電話】786-4030【FAX】786-4031
問合せ:歴史民俗資料館
【電話】786-4030
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