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[特集]特別対談『1 万円札』 肖像バトンタッチ(2)

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埼玉県深谷市

◆偉人を通したまちづくり
小島市長:
二人はそれぞれのまちの誇りですし、子どもたちが二人の思いを、心の糧にして育ってもらいたいと思います。
深谷市では、学校教育の中で、副読本を作り、時間をかけて『渋沢栄一翁』と『翁』を付けて呼んできました。おかげさまで、今では、子どもたちはみんな、敬意と親しみを込めて『栄一翁』と呼んでいます。福澤先生は、中津市ではどう呼ばれているんですか。

奥塚市長:
まちの人も、子どもたちも『福澤先生』と呼びますね。
中津市も深谷市と同じく、子どもたちに福澤精神を引き継いでいくことが大切だと考えていまして、毎年、小学校では福澤諭吉のカルタ大会、小中学校で、『独立自尊』など、福澤先生の言葉を課題にした書道大会を実施しています。また、高校生を対象に、福澤先生の教えを継承する全国弁論大会を実施し、60回を超える伝統の大会となっています。

小島市長:
素晴らしいですね。栄一翁も、『立志(りっし)の精神』や『忠恕(ちゅうじょ)の心』、そして『論語と算盤(そろばん)』などの有名な言葉や精神があるので、中津市の教育や取り組みを参考にさせていただきます。

◆人づくりが未来につながる
小島市長:
教育って要は『人づくり』で、栄一翁は500もの企業に関わっていますが、それは1人ではできないことで、どれだけの人を巻き込んで、人と人をつないだかという『人づくり』をしていたんだと思うんです。

奥塚市長:
福澤先生も『学問のすゝめ(すすめ)』による『人づくり』はもちろん、慶應義塾を拠点に、実業界、政官界などで活躍し、『福澤山脈』と呼ばれるほどの『人づくり』を実践していました。

小島市長:
そうやって福澤先生の門下生がいろんなところで活躍しているでしょう。深谷市でも、栄一翁が関わった東京商工会議所をはじめ、12者で栄一翁の顕彰に関する包括連携協定を締結するなど、栄一翁の『人づくり』が今につながっているなと思いますね。

奥塚市長:
中津市では、先ほどお話したカルタもそうですけど、福澤先生が創立した慶應義塾が一緒に連携し、全面的に力を貸してくれています。
また、肖像のバトンタッチをきっかけに、慶應義塾をはじめ、関係団体の協力により『不ふ滅めつの福澤プロジェクト』をスタートしました。さらに今年は、福澤先生の生涯を題材に市民ミュージカルを創作しますし、『オールなかつ』で取り組めていることが、本当にありがたいなと思います。

小島市長:
栄一翁と福澤先生の思いや考え方、実践したことって、全部今につながっていますよね。
深谷市と中津市もせっかくこういう縁でつながったんですから、『教育』と『人づくり』という意味でも、お互いの小学校同士をオンラインでつなぎましょうよ。

奥塚市長:
それはいいですね。ぜひやりましょう。

小島市長:
我々の時代はなかったけど、今は遠くてもオンラインでつながれますからね。

◆深谷と中津の食の縁
奥塚市長:
食の話になりますが、中津の会社が、深谷ねぎを使った『不滅の鶏餃子』を作りましたし、実は中津市は『大分味一(あじいち)ねぎ』という小ネギの生産が盛んなんです。

小島市長:
そうなんですね。ネギといえば、深谷市から始まったネギの産地が集結する『全国ねぎサミット』がありますよ。中津市も、ぜひ参加してもらえたら嬉しいですね。あと中津市といえば、唐揚げと鱧はもも有名ですよね。

奥塚市長:
そうですね。鱧の骨切りは中津で生まれ、全国に広まったとも言われています。

小島市長:
深谷には栄一翁の愛した麺料理、煮ぼうとうがあるんですが、唐揚げ、鱧、煮ぼうとうがあれば『しめ』までいけますね。

奥塚市長:
まさに、食でもつながれますね。

小島市長:
小ネギも何にでも合いそうですし、唐揚げも鱧も含めて、食でももっとつながりができれば面白いですよね。

◆お互いの市へメッセージ
奥塚市長:
福澤先生と栄一翁は、幕末から明治にかけて、苦難の道を自らの強い意志で乗り越え、日本の礎(いしずえ)を築いた二人です。その二人が1万円札の肖像をバトンタッチすることは、今後の深谷市と中津市の関係を強化することにもつながっていくと思います。
また、次の世代につないでいくために、小島市長から提案がありました、子どもたち同士の交流をぜひ推進したいと思いますし、それぞれのまちが持つ特徴を生かして、さらに良いまちづくりに励むことができればと思いますので、よろしくお願いします。

小島市長:
新札が発表されて、深谷市はどうしようかという中で、中津市の福澤先生の顕彰事業や取り組みがとても勉強になりました。同じ時代に生きた二人の生き方を、中津市と連携して伝えていき、これからも我々のまちづくりの見本として、いろいろと教えていただきたいと思います。
そして、奥塚市長がおっしゃったように、これからの中津市、深谷市を担う子どもたちが、福澤先生、栄一翁の生き方や考え方を、つないでいってもらいたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。奥塚市長、今日はありがとうございました。

奥塚市長:
こちらこそ、ありがとうございました。

福澤諭吉の故郷《大分県中津市》
人口:81,681人
(令和6年5月末現在)
大分県の北部に位置し、大きく中津地域、三光(さんこう)地域、本耶馬渓(ほんやばけい)地域、耶馬溪(やばけい)地域、山国(やまくに)地域に分かれます。
面積:491.44平方キロメートル
(令和6年現在)
肖像出典:国立国会図書館『近代日本人の肖像』

◆大分県中津市ってこんなところ
○中津市早わかり
黒田官兵衛(くろだかんべえ)が築城した『中津城(奥平家歴史資料館)』や福澤諭吉が過ごした『福澤諭吉旧居』、蘭学に関わる施設やお寺が立ち並ぶ風情ある街並み『寺町』など、数多くの見どころがあります。

○中津からあげ
〈こだわりの下味をつけ、揚げたてジューシーなからあげ〉
塩だれや醤油だれ、ニンニクやショウガなど、お店ごとにこだわりと独自の味付けで提供しています。

○耶馬渓(やばけい)
〈日本新三景、国名勝、日本遺産の3大タイトルに輝く〉
福澤諭吉が、景観保全のために私財を投じて土地を購入し、守った自然美は、人々を魅了し続けています。

※詳細は本紙P.2~P.5をご覧ください。

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