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【特集】あなたの家が将来空き家になったら…(1)

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埼玉県熊谷市

近年、人口減少や少子高齢化などの進行に伴い、適切に管理されないまま放置されている空き家の増加が全国的な社会問題となっています。今回の特集では、住まなくなっても建物などを適切に維持・管理していただけるよう、所有者を支援する取組などについてご紹介します。

◆市内の空き家実態
市内の空き家数→約2,100戸
うち、建物の一部損傷や草木の繁茂などの問題がある空き家の数→約1,500戸
(令和4年度実態調査より)

◆放置された空き家の問題点
・倒壊の危険
家の倒壊などで隣人や通行人に危害を及ぼす
・景観への悪影響
ごみの散乱や外壁の破損などで景観を損ねる
・不審者の侵入
不審者の出入りなどで周辺の治安悪化につながる
・環境への悪影響
樹木や雑草などが繁茂し、敷地から越境している

◆専門家に聞きました!
熊谷市空家等対策協議会委員
岩佐 憲一(いわさ けんいち)弁護士

Q どのような相談がありますか。
A 実家が空き家となり、相続人が建物を解体や売却しようとした際に、遺産分割の手続が課題となってしまい処分が進まないという相談を受けることが多いです。特に、何代も前に亡くなった方の名義のままとなっていた場合は、相続人の範囲が広がってしまい、遺産分割協議をすることが難しくなってしまいます。

Q 何が問題となっているのでしょうか。
A 空き家が管理不全な状態のまま放置されることで、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすことが問題となります。
適切な管理が行われず放置されている場合、空き家が原因で第三者に被害が発生すると、その空き家の所有者は損害賠償の責任を負うこととなります。このようなことにならないよう、空き家の所有者は日頃から適切な管理に努める必要がありますが、空き家の状態を把握し続けることが困難な場合も考えられます。被害が発生する前に、近隣の方や行政が連絡できるようにするためにも、適切に所有権移転登記の申請手続をしておいたほうが良いでしょう。

◇法律が一部改正されました
空き家を適切に管理しないまま放置すると、所有者などに指導や勧告が行われることがあります。勧告がなされると、空き家の敷地に係る固定資産税などの住宅用地特例が受けられなくなります。

Q 相続した場合はどのような手続が必要となりますか。
A 令和6年4月から相続による所有権移転登記の申請が義務化されました。相続により不動産を取得した場合は、その日から3年以内に法務局に申請手続を行う必要があります。相続があったときは、相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産を取得した方は法務局に速やかに相続による所有権移転登記の申請を行ってください。また、話し合いがまとまらないなど、3年以内での申請が難しい場合には相続人ひとりでも法務局に「相続人申告登記」の申出を行うことで、申請義務を履行したものとみなされます。なお、この申請義務は令和6年4月より前に相続により取得した不動産についても対象となり、この場合の3年の起算点は、令和6年4月からとなります。

Q 木の枝が伸びてきた場合はどうすればよいですか。
A 隣地の竹木の枝が自分の所有地に伸びてきた場合、今までも、その土地の所有者は隣地の竹木の所有者に枝を切るように求めることができましたが、令和5年に民法が一部改正され、次のような場合は、自らその枝を切ることができることが規定されました。(1)竹木の所有者に枝の切除を催告したが、その所有者が相当の期間内に切除しなかった場合、(2)竹木の所有者が誰か(またはどこにいるか)分からない場合、(3)差し迫った事情がある場合です。ただし、実際に隣地の竹木の枝を切除しようとする場合は、事前に弁護士などの専門家に相談したほうが良いでしょう。

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