日々手口が巧妙化している特殊詐欺。現在、犯罪グループなどがターゲットにコンタクトを取る際に、家庭の固定電話に連絡を入れる事例が多く報告されています。これらをきっかけとした詐欺行為から身を守るために、どうしたらいいのか。現場の最前線に立つ、狭山警察署生活安全課の方にお話を伺いました。
◇最近はどのようなタイプの犯罪が多いですか?
8月末時点の狭山市内での特殊詐欺の発生件数は22件。内訳としては親族などを装った「オレオレ詐欺」が15件、市役所の職員などを装った「還付金詐欺」が6件、警察官や銀行員を装いキャッシュカードなどをだまし取る「預貯金詐欺」が1件です。またその他にも、最近はSNSを使った投資詐欺が増加傾向にあります
◇詐欺の手口に、電話はどのように絡んできますか?
狭山市の事例では、まず固定電話に入電する割合がかなり高いです。事前にターゲットの個人情報を入手しており、キャッシュカードを家まで取りに来るといった「手交(しゅこう)型」のものが多く見られます
◇電話ではどのようなことを言われることが多いですか?
焦りや不安を誘うような「今日中に」や「逮捕される」といったものや「劇場型」と呼ばれる、複数人で連携して精神的に追い込んでくるものがあります。全体として言えるのは、ターゲットに考える時間を与えず、冷静な判断をさせないようにしてくるということです
◇被害に遭われている方の年齢などに傾向はありますか?
やはり高齢の方が狙われますね。特に80代の方が多いです。昔から同じ地域に長く住んでいる方に対しては、事前に情報を調べたり予兆電話をかけたりしてくる場合もあるようです
◇電話に対してできる対策はどのようなことですか?
大きく分けて3点です。1点目は「電話に出ない」。在宅していても留守番電話に設定したり、呼び出し音を短くして音も最小にしたりしておくなどの工夫をすると良いと思います。2点目は「国際電話に気を付ける」。特殊詐欺で利用する回線は国際電話を使用するケースが多いです。番号が+1(米国)や+44(英国)から始まる電話番号は事前に着信拒否設定をしておくと、被害を防げます。3点目は「電話事業者の対策設定を活用する」。回線をつないでいる事業者に問い合わせると、ナンバーディスプレイや番号非通知の着信拒否が設定できます
◇家族や周りの人ができる対策はありますか?
すぐにできることとしては、キャッシュカードの管理を家族が行うことやタンス預金をしないなど、お金の管理を高齢の方だけに任せないことですね
◇特殊詐欺に遭わない為に、何を心掛けることが最も大事ですか
固定電話は留守番設定にして出ないことと、お金の話が出てきたら即断せずに家族などへ相談することです。しかし、犯人グループも常に頭を使い、あれこれと手を変えて言い寄ってきます。狭山警察署では市民の皆さんが被害に遭うことのないように、相談に乗ることができる体制を常に整えています。少しでも怪しいと感じることがありましたら、すぐにご連絡ください
■市内で特殊詐欺の被害が増加しています
◇市内の特殊詐欺認知状況
※狭山警察署生活安全課調べ
◇実際に起こった事例
(ケース1)
被害額755万円
息子を装い、会社の重要書類などを紛失した損失を補填するためにお金が必要という名目で連絡。会社関係者を名乗る者に、自宅先路上で2回支払い
(ケース2)
被害額59万円
市役所·サポートセンターを装い、医療費の還付金を受け取るために必要な申請書がATMで発行できるという名目で振込み
■録音機能の付いた電話機などの購入費を補助しています
市では特殊詐欺の被害防止効果が期待できる電話機器などの購入費の一部を補助しています。
◇対象者
次の全てに該当する方
・狭山市に住民登録があり、65歳以上
・市税を滞納していない
※申請は一世帯1台限り
◇対象機器
(1)自動応答·録音機能を内蔵する固定電話
(2)固定電話に接続する自動応答・録音機能のある装置
※1年以内に市内の店舗で購入したものに限る
◇申請期限
7年2月28日
※予算に達し次第、募集を終了
◇補助額
購入費用の2分の1。上限は5千円
◇申込み
必要書類を持って交通防犯課へ
〇入電するとメッセージが流れます
この電話は振り込め詐欺の犯罪被害防止のため会話内容を自動録音します
問合せ:同課へ
【電話】2937-6641
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