今年も、狭山の秋の風物詩「さやま大茶会」を開催します。使用するお茶は狭山の抹茶「明松(みょうしょう)」と玉露の「伊利麻路(いりまじ)」。水は日本名水百選に選ばれた、友好交流都市・新潟県津南町の「龍ヶ窪(りゅうがくぼ)の水」です。また、津南町の物産展や手揉み茶の実演、狭山茶の試飲や和菓子の販売なども行います。
野点(のだて)の茶会は服装や形式にとらわれることなく、気軽に茶道を楽しむことができます。会場を訪れて、秋のひとときをお楽しみください。
■開催概要
日時:11月10日(日)、10時~15時※雨天決行
場所:県営狭山稲荷山公園
※駐車場に限りがあります。できるだけ公共交通機関をご利用ください
費用:1席600円
販売場所:自治文化課
色はさみどり狭山の抹茶と玉露でおもてなし
■さやま大茶会の始まり
狭山の秋に欠かせない文化行事となっている「さやま大茶会」。今日に至るまでに、どのような歴史を辿ってきたのでしょうか。第1回が開催された当時、狭山市長を務めていた大野松茂名誉市民にお話を伺いました。
◇狭山だからこそできる茶会
平成元年の国民文化祭が埼玉県で開催されたことがきっかけです。数あるテーマの中から「茶会」を茶どころ狭山市で行うための理由を幾つも提案しました。まず「狭山茶の産地であること」。そして「煎茶の狭山(きょうざん)流というお茶の流派があること」。これは入間市にある繁田(はんだ)園というお茶屋さんの繁田百鑒齋(ひゃっかんさい)という方が提唱した茶道です。狭山流はお茶を科学的に知ることによって、味や香りをより良く引き出す茶式こそが真の茶道であると主張していました。お茶の産地にその土地ならではの流派が存在しているというのは、他にはないことです。最後に、会場とする「狭山稲荷山公園の美しさ」。青々とした広大な芝生に、立派な松や桜の木が植えられています。こうした理由が認められ、国民文化祭の「茶席」が開催されることとなりました。会に訪れた多くの方からお褒めの言葉をいただき、今後も狭山ならではの茶会を継続していこうと決まりました。それが今の「さやま大茶会」につながっています。
◇「明松」「伊利麻路」の誕生
開催を重ねていく中で狭山独自の茶会として続けていくために、狭山の抹茶を作ろう、という話があがります。当時の茶業協会の皆さんが大変な努力をしてくださり、抹茶「明松」が生まれたのが平成3年のことです。「明松」という名前は、お茶を日本に広めた栄西禅師(えいさいぜんじ)にゆかりのある京都建仁寺(けんにんじ)の管長・湊素堂(みなとそどう)老師に命名していただきました。また、抹茶があるのなら煎茶も作りたい、ということで生まれたのが「伊利麻路」です。これは、万葉集に出てくる「入間道」という言葉を由来として、私が名付けました。
◇野点(のだて)で気軽に狭山茶を
茶席というと、通常は茶室の畳の上で設けられるものです。しかし、狭山の大茶会は野点にこだわりました。茶室でお茶を点てる、いただくとなると参加するのに腰が引けてしまう方も少なくありません。対して、開放感のある野点では、誰でも気軽にお茶を楽しむことができます。狭山では大茶会を通して、こんなに大勢の皆さんがお茶の飲み方を知っている、そのことが大茶会を続けてきた大きな成果です。継続してきた中で尽力してくださった多くの方々に感謝するとともに、今後も狭山茶の魅力を気軽に堪能できる場であってほしいと願っています。
■さやま大茶会会場案内図
※本紙をご参照ください
◇抹茶
(1)慈風(じふう)会…(裏千家)
(2)杜(もり)の風男の会…(表千家)
(3)狭山台中学校茶道部…(裏千家)
(4)岡田 宗智(そうち)…(裏千家)
(5)5狭山ヶ丘高等学校・同付属中学校茶道部…(裏千家)
(7)後藤 智芳(ちほう)…(雲伝心道流茶道)
(8)村栄(むらえ)仙恵(せんけい)…(大日本茶道学会)
(10)狭山経済高等学校茶道部…(表千家)
◇煎茶
(6)煎茶道 松風(しょうふう)流 泉月(せんげつ)会 狭山支部…(松風流)
(9)(公財)煎茶道 方円(ほうえん)流 埼玉支部…(方円流)
問合せ:同課へ
【電話】2937-5749
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