悲願の金メダルへ!攻守に躍動するパラリンピアン
佐野優人(さのゆうと)さん
≪プロフィール≫
狭山市在住のゴールボールプレーヤーで、2大会連続パラリンピック日本代表。14歳の時に視力が低下する難病「レーベル遺伝性視神経症」を発症したことを機に、ブラインドスポーツであるゴールボール競技者としての生活をスタート。8月に開催されるパリ2024パラリンピックで金メダルを目指す。
アイシェード(*)と呼ばれる目隠しをした状態で重さ1・25kgのボールを転がすように投げ合い、得点を競うゴールボール。ディフェンスでは、3人1組のチームで声を掛け合いながら身を挺してゴールを守ります。動きの激しさとボールに仕込まれた鈴の音を頼りにボールの位置を判断することから「静寂の格闘技」と呼ばれています。この競技のトップランナーとして、パラリンピック日本代表に2大会連続で選出された佐野優人さんにお話を伺いました。
「小さい頃から身体(からだ)を動かすことが好きで、特に野球に夢中になっていました。中学校を卒業したら甲子園を目指して、強豪校で活躍することを夢見ていました」
しかし、そんな思いを遮るように佐野選手の目に異変が起こったのは14歳の冬のことでした。「ある日を境に視力が急激に低下していきました。レーベル病と診断され、野球を続けることができないと言われた時は、とても落ち込みました」
失意の中、再び前を向いて歩き出すことができたのは、周りの人のサポートがあったからこそだと言います。
「母や大学病院の先生が、新たに打ち込めるスポーツがあるのか色々と調べて勧めてくれました。ゴールボールに出会うことができたのもそれがきっかけです」
最初は、野球と比べて本気で取り組めるだけの魅力が障害者スポーツにあるのか、半信半疑だった佐野選手。しかしその思いも良い意味ですぐに裏切られたようです。
「初めてゴールボールを見学した時、ダイナミックな動きでボールを投げ出すところや、声を掛け合ってチームで息の合ったディフェンスをするところを見て、とにかく『格好いい!』と一瞬で魅了されました」
それからというもの、どんどんと競技にのめり込んでいき、プレーヤーとして頭角を現します。これには、野球で培った経験が活かされていると言います。
「ディフェンスでは鈴の音を頼りにボールの軌道を予想して、身体を投げ出します。野球の守備と感覚が非常に近いものがあり、この動きの速さと正確性が私の強みになっています。見ている方にも注目してもらいたいポイントですね」
前回のパラリンピック東京大会ではチーム最年少だったこともあり、ただ無我夢中でプレーしていたとのことですが、3年の時を経た今、パリ大会はまた少し違った心境で臨むようです。「チームの主力としての役割を求められていますし、その責任も感じています。パラリンピックで結果を出すことがゴールボールを多くの方に知ってもらうきっかけになると思うので、目指すはただ一つ、金メダル!絶対にやり遂げてみせます」
力強く語ってくれた佐野選手。8月、パリの地で躍動する姿にご注目ください。
(*)選手全員が視野や視力といった障害の程度による差が出ないように着用するもの
佐野選手の日頃の活動の様子をInstagramでチェックできます
(※二次元コード本紙掲載)
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