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今昔写真で見る町の移り変わり 神泉編

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埼玉県神川町

今私たちが日常で見ている風景も、やがては新たな風景へと生まれ変わっていきます。日々の変化を記録し、後世へ伝えていく手段として「写真」があります。写真は地域の歴史や暮らしを知るうえでとても貴重な資料であり、撮影された時代を生きた人々にとっては、懐かしい人や風景を思い起こさせる大切な宝物ともなります。
今月号の特集は、神泉地区内で撮影された写真から町の移り変わりを見ていきます。
まず初めに表紙を見てみましょう。手に持っている写真には神泉村役場が写っています。神泉村役場は阿久原小学校が現在の神泉小学校の場所へ移転した後に、校舎を神泉村役場として使用し始めました。写真の撮影された詳しい時期は分かりません。神泉村が昭和29年(1954)に誕生し、令和5年3月まで支所として使用していた建物が昭和46年(1971)に建設されたことから、撮影時期は昭和30年代と考えられます。
そして背景となっている建物は、令和5年4月に開庁した神泉総合支所です。以前の支所の場所から多目的交流施設(旧神泉中学校)の敷地内に移転してきました。

◆登仙橋
登仙橋は、県道太田部鬼石線の群馬県境の神流川に架かる橋です。矢納地区は峠を越えた秩父方面からの物資搬入は困難なため、鬼石方面から神流川を越えて生活品の搬入を行ってきました。登仙橋ができる以前は土橋や板橋を架けていましたが、大雨や洪水の度に流失していました。明治14年(1881)に木橋が完成し、その後老朽化や自動車の通行に適していないため何度か架け替えが行われた後、昭和39年(1964)に現在の姿となりました。「登仙橋」と呼ばれるようになったのは昭和9年(1934)に架け替えた時だと言われています。それ以前は「手築橋」と呼ばれていたようです。

◆今は見ることのできない風景
昭和44年(1969)利根川支流の神流川上流に完成した下久保ダム。このダムの建設によりダム湖に沈んでしまった集落がありました(稲村・向平・柚木・矢納平ほか)。当時の写真が残っていることで水没地域に暮らしていた人々の生活を知ることができます。このようなことからも古い写真の重要性を改めて感じさせられます。

◆県道矢納鬼石線
12月号の特集記事でも触れましたが、県道が開通するまで神泉地区へ向かう際は群馬県に一度入らなければなりませんでした。明治時代の記録を見てみると、当時の渡瀬村と阿久原村が県へ道路開通の願書を出しています。しかし、山と川が接近している難所であることから開通には至りませんでした。明治時代からの願いが実現するのは、昭和になってからです。昭和47年(1972)にようやく工事が開始され、開通式が61年(1986)に行われました。この道路の開通により神泉地区へ直接行き来できるようになりました。
(1)は昭和42年(1967)に開催された国体リレー時の様子で、渡瀬側から撮影されたものです。この当時、県道は開通しておらず渡戸橋を渡り鬼石を経由して神泉へと向かいました。(2)の写真は撮影年代は不明ですが、現在の下阿久原交差点付近を撮影したものです。

◆皆さんから寄せられた写真
文化財担当で募集していた古写真ですが、皆さんから寄せられた写真を紹介します。この他にも多くの写真をお寄せいただきました。紙面の都合上全て紹介することはできませんが、ご協力ありがとうございました。

(1)青柳村競馬大会
大正6年(1917)に大字新宿の寄島で行われた競馬大会の様子を写したものです。写真下部中央には馬が走っている姿が見て取れます。

(2)丹荘村役場
昭和4年(1929)に撮影された丹荘村役場の写真です。写真に家屋曳方(ひきがた)※の文字が見られることから村役場を解体せずに移動させたということがわかります。調査中ではありますが、町に残る丹荘村役場の写真で一番古い可能性があります。さらに役場をそのまま移動させていたという事もこの写真により新たにわかりました。
※家屋曳方…建物を解体せずにそのまま移動させる建築工法

(3)渡瀬旧道
年代不明ですが、現在の渡瀬小学校の前の道を撮影したものです。道の両端に水路が流れていることがわかります。

※写真は本紙をご覧ください。

◆昔の写真探しています
◇古い写真はとても重要
家の中に眠っている古い写真の中には、貴重な情報が詰まっていることがあります。今では無くなってしまった建物、開発が進み様子が変わった自然のほか、現代では見られなくなった人々の生活や習慣が写真として残されています。
撮影された年代と場所が特定できる写真は、現在の町の状況と比べられることから重要な歴史的資料となりえます。

◇探している写真
・町の風景
・人々の暮らし(農業や養蚕)
・地域の行事(お祭りなど)
丹荘村役場の写真のように町の歴史解明に繋がる写真があなたのお家に眠っているかもしれません。お持ちの方は文化財担当までご一報ください!

問合せ:生涯学習課 文化財担当
【電話】0274-52-2586【FAX】0274-52-2586
月曜~金曜日(土日祝日を除く)

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