■医療へのアクセス
埼玉県立大学社会福祉子ども学科 准教授 高島恭子(たかしまきょうこ)
こんにちは。突然ですが、皆様は体調に異変を感じたとき、病院へは足が向くほうでしょうか。病院に行く、様子を見ながらゆっくり過ごす、市販薬を利用する等、症状にもよるでしょうが、さまざまな対応があると思います。医療へのアクセスを、(1)医療ケアの必要性が生じる→(2)ケアの必要性を認識しケアを求める→(3)医療機関を探す→(4)医療機関にたどりつく→(5)医療サービスを利用する→(6)必要なケアに対しての結果を得る、という枠組みで説明する論文があります。
どこにハードルがありそうでしょうか。「(2)ケアの必要性を認識しケアを求める」は、これは病院に行かなければならないなと思い、よし行こうと意欲を持つことです。「(3)医療機関を探す」は、症状にあった医療機関を見つけること。「(4)医療機関にたどりつく」では、医療機関の場所を調べ、交通手段を利用し、開院時間に合わせてたどりつかなければなりません。お財布も必要です。インターネット上に多くの情報があるとしてもなかなか大変そうです。情報を集める能力、言語や交通手段の状況、雇用の状況なども影響してきます。
先の論文では、医療アクセスを医療機関につながっていく私たちの能力と、医療の提供機関や組織、制度の利用しやすさの相互作用として捉えています。とはいえ、制度や環境が整っていても、医療にかかろうという意識を本人が持つことがスタートとなりそうです。不調を我慢しつらい思いをするよりも医療機関を活用するのはいかがでしょう。そしてその後も、自分の医療ケアに自分自身が関与しようという気持ちが大切です。
医療機関やその他のサービスを上手に活用しながら、健やかな1年を過ごせますように。
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