■健康な睡眠とは?
越谷市薬剤師会 そね薬局 野口浩之
秋の夜長を感じる季節になりました。今回は睡眠についてお話させていただきます。
昔は「健康には8時間の睡眠が必要」と言われていましたが、現在では世代や個人の状況によって異なることが分かっています。とはいえ勤労世代では睡眠時間は重要で、6時間未満の睡眠で心血管リスクが約5倍になることが報告されています。健康のために7時間前後の睡眠が推奨されています。対して高齢者では、睡眠時間と健康の相関は見られず、むしろ長時間睡眠(8時間以上)は健康上よくありません。また、高齢者に関しては「床上時間」のほうが大きく影響することが分かっています。床上時間とは「起きている時間も含む、寝床についている時間」のことで、こちらも8時間を超えるとよくないとされています。年齢を重ねるにつれ、床上時間はのびてしまう傾向があるためご注意を(暇だから床に入ろう、はおすすめできません)。
眠れない場合には無理に床に入らず、暗めの部屋でリラックスし、眠くなってから床に入るのがおすすめです。時には秋の夜長を楽しんでみるのもよいかもしれません。
良質な睡眠をとるためのポイントとして(1)規則正しい生活習慣、(2)睡眠環境(遮音、遮光、室温調整)、(3)日光浴(起床後30分程度)、(4)運動習慣(60分以内を週数回程度)、(5)昼寝は30分以内に、(6)カフェイン、アルコールを摂りすぎない(特に夕方以降)などが挙げられます。ただし、「良質な睡眠にこだわりすぎて眠れなくなる」ことのないようにご注意を。
努力しても眠れず、生活に支障が出るようであれば、睡眠障害や別の疾患(むずむず足症候群、睡眠時無呼吸症候群など)が隠れている可能性もあります。
その際は一人で悩まず、睡眠外来やかかりつけ医、薬局にぜひご相談ください。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>