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飯能市の史跡・文化財を訪ねる(3)

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埼玉県飯能市

■「西川材」と「飯能の西川材関係用具」
鉄道や道路が整備される以前は、伐採した材木を筏(いかだ)に組み、川を利用して運搬していました。「西川材」は、「江戸の西の川から流されてくる木材」を指してその呼び名が付いたと言われています。「西川」ということばは天保10(1839)年の古文書には既に登場していて、明治時代以降にこの名が広まりました。西川材は、古くから木材の産地である現在の飯能市周辺の林業の発展を支えてきました。こうした西川材を産出する林業は「西川林業」と言います。
今回ご紹介する「飯能の西川材関係用具」は、計448点が平成19(2007)年に埼玉県有形民俗文化財に指定されており、これらを西川林業における作業工程等によって、育林・伐採・皮剝き・搬出・流送・製材・衣類・信仰・その他の用具として、9つに分類しています。西川林業の飯能市域における機械化以前の西川材生産用具の全体像を示すコレクションであり、東京近郊の育成林業地域の特色を示す点が評価されています。
メドキリ(本紙の表紙写真上段左)は筏(いかだ)を組む際に、藤の蔓(つる)や竹で作った縄など通すためのメド(穴のこと)を材木に開けるために使われました。陸路での輸送が可能になると、筏(いかだ)を組むためのメドキリは不要となり、ヨキ(斧のこと)に打ち直されることもあったようです。
マエビキノコ(本紙の表紙写真中段左)は伐採した材木の丸みを帯びている部分を切り落とし、板材などに加工するために使われました。挽(ひ) く材木に応じて様々な大きさのものを使い分けており、技術も体力も必要な仕事であったと伝えられています。
ケズリヨキ(本紙の表紙写真下段左)は伐採した材木を削って、角材をつくるために使われました。熟練者のつくった角材は、並べて置いた上に水をかけても下にこぼれないほど正確な作りであったと言われています。
西川林業は、現在でも飯能市における重要な産業の一つであり、その流れを引き継いだ多くの事業所が存在しています。このような歴史・文化を語る上で、「飯能の西川材関係用具」は必要不可欠な文化財と言えます。

問い合わせ:博物館
【電話】972-1414【FAX】972-1431【メール】museum@city.hanno.lg.jp

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