■令和5年度の財政状況
町の財政状況を把握するためには、複数年にわたる長期的な視点が必要です。そのための指標として、地方債と基金の残高状況、経財政健全化法に基づく常収支比率と財政力指数、健全化判断比率などがあります。
[1]地方債と基金-借金と貯金-
令和5年度末の地方債現在高は、前年度対比4億974万円(6・2%)減の61億5132万円となりました。この減少は、令和2年度に策定した町債残高削減計画に基づき、町債発行の抑制に取り組み、地方債残高が削減されたことなどによります。
基金は、近年増加傾向にあり、令和5年度末残高で、前年度対比2億3320万円増の12億3271万円となりました。特に町の貯金といえる財政町政基金は1億5937万円増加となりました。全体的には町の借金を減らし、貯金をすることができました。
[2]経常収支比率、財政力指数と健全化判断比率
町の財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、令和4年度決算の87・2%より4・0ポイント悪化の91・2%となりました。
これは、分子である人件費や公債費等に対する充当経常一般財源が増加し、分母となる経常一般財源も増加したものの、充当経常一般財源の増加が上回ったことによるものです。
▽財政⼒指数は低下傾向
財政力指数は、地方公共団体の財政力を示す数値で、財政力指数が高いほど自主財源の割合が高いことを示し、財源に余裕があることになります。
令和5年度は、単年度での指数が0・501と前年度の指数を下回ったことで、3か年平均値は0・510となり、前年度に比べ0・025ポイント低下しました。
ただし、財政力指数は、税制改正や交付税制度の変更などの影響を受けるため、その経年変化が端的に「財政力」を示すものではなく、あくまで地方交付税の算定過程で算出された財政基盤を示す指標となります。
▽将来負担⽐率は改善傾向
財政健全化法に基づく健全化判断比率は、すべての会計で資金不足等が発生していないため、「実質赤字比率」、「連結実質赤字比率」及び「資金不足比率」はいずれも赤字ではなく該当しませんでした。
実質公債費比率は、令和元年度及び令和2年度に実施した上熊井農産物直売所整備事業や泉井交流体験エリア整備事業などに係る町債の一部償還が、令和5年度から開始されたことにより、元利償還金が増加したため、前年度対比で0・5ポイント上昇し、11・7%となりました。
また将来負担比率は前年度対比で13・7ポイント減少し、76・6%となりました。
これは、令和2年度に策定した鳩山町町債残高削減計画に基づいて取り組んだ結果、前年度に比べ地方債残高が減少したことや埼玉西部クリーンセンター建設に係る地方債について、令和5年度から、償還が開始されたことにより、組合負担等見込額が減少、そのほか、町の財政調整基金や減債基金などの充当可能基金残高が前年度に比べ増加したことによるものが主な要因です。
いずれの指標も「早期健全化基準」を下回りましたが、県内市町村平均等と比較すると数値は高い状況です。財政健全化と持続可能なまちづくりを進めるため、引き続き将来を見据えた、かつ財政規律の保たれた財政運営に努めます。
◆地⽅債と1⼈当たりの現在⾼(⼀般会計)
(地方債現在高は万円未満を、1人当たりの現在高は千円未満を四捨五入)
地⽅債は、施設や道路などを建設する際に必要とする資⾦を、銀⾏などの⾦融機関から調達し、後年度に負担する債務で、その返済が⼀会計年度(4⽉1⽇〜3⽉31⽇)を越えて⾏われるものです。また臨時財政対策債は、本来、国から交付される地⽅交付税の⼀部を代替措置として借り⼊れるもので、後年度の元利償還⾦に相当する額が地⽅交付税交付額の算定の⼀部に算⼊されるものです。
◆基⾦(⼀般会計)の残⾼推移
(各基金とも万円未満四捨五入のため、合計が合わない場合があります。
※基⾦とは、町の貯⾦に当たります。
◆町の経常収⽀⽐率の推移
経常収⽀⽐率は、経常経費に充当される経常⼀般財源÷(経常⼀般財源+減税補てん債+臨時財政対策債)×100の計算式で算出されます。町税や地⽅交付税のように使途が特定されず毎年度経常的に収⼊される財源(経常⼀般財源)のうち、⼈件費や扶助費のように毎年度経常的に⽀出される経費(経常的経費)に充当されたものが占める割合です。数値が⾼くなるほど、弾⼒性を失いつつあると考えられています。
※県内市町村の令和4年度平均値は93.0%(令和5年度数値は算定中)。
◆町と県内市町村等の財政⼒指数の推移
財政⼒指数は、普通交付税の基準財政収⼊額÷基準財政需要額の計算式で算出される3か年の平均値です。町の財政状況を分析する上で最も基本となる指標で、財政⼒指数が単年で「1」を超える場合には、⾃⽴して財政運営ができることを⽰し、普通交付税の不交付団体となります。
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