■Interview「空き家問題」の解決に向けて
町内でも空き家の増加が懸念されています。町では、鳩山町空家等対策協議会を設置し、空き家対策の推進と適正管理に取り組んでいます。
空き家問題の背景や解決に向けた取り組みについて、各分野の専門家にお話を聞きました。
埼玉県行政書士会所属。空き家・所有者不明土地対策委員長。
▽今後県内の空き家は増加する一方
平成30年に総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は約846万件でした。令和5年の調査では約900万件と増加しています。
埼玉県に関しては、空き家率は比較的低いと言われています。空き家率は9・4%で、調査期間の間に下がっています。しかし、住宅の戸数が多いので、空き家率は下がっていますが、戸数は増加しているという状況です。
埼玉県では、高度経済成長期に流入した人口が高齢化し、最近10年間の後期高齢者増加率が全国でもトップクラスであるため、今後、急激な空き家増加が懸念されております。
▽今から始められる対策を
空き家の中でも売買や賃貸用ではない「その他空き家」は増加しており、一般的に「管理不全空き家」となる可能性が高いものです。今後、空き家は必然的に増えていくので、空き家になった建物をいかに利活用できる状態で管理できるかがポイントです。
現代では高齢化が進行し、所有者が亡くなった後の相続人が65歳を超えている場合が増えてきました。相続人も高齢化し、体力的にも経済的にも空き家を適正管理することが難しくなっています。
所有者が元気なうちに、遺言や成年後見制度などを利用し、住まいの将来について、家族や親族で話し合っておきましょう。
▽空き家を活かす
空き家は全国でさまざまな活用がされています。企業のシェアオフィスやシェアハウス、ある程度まとまって空き家がある地域では、小さな商店街に変身させるといった事例もあります。
しかし、実際に個人がそういった活用を行っていくのは難しいと考えられます。所有者と行政、民間企業等が連携し、地域として、空き家問題に取り組んでいくことが大切です。
■「空き家問題」の解決に向けた3つのポイント
(1)家の終活について、家族で話し合いましょう
(2)老朽化する前に、利活用について考えましょう
(3)所有者不在となる前に、相続手続きをしましょう
鳩山町空家等対策協議会委員。鳩山町空き家バンク協定団体の(公社)埼玉県宅地建物取引業協会埼玉西部支部所属、有限会社島村建設の代表取締役。
▽町内の空き家
鳩山町は、所有者が亡くなり、子が相続したものの遠方に住んでいるため、空き家になっているケースが多いです。家族の思い出がある自宅を売却することに気後れする方や、管理費用が負担となり空き家をそのままにしている場合が考えられます。
町内の空き家は比較的土地が広い場合が多く、農業に関心のある方や外国人世帯に人気があります。空き家の利活用を希望する場合、使用できる状態のうちに売却や賃貸に向けて、なるべく早めに決断をしましょう。
▽求められる適正な管理
管理が行き届いてない空き家は、小動物が住みついたり、雑草が生えたりと、周囲の環境へ与える影響がとても大きいものです。管理不全の空き家があるだけで、地域の生活環境が悪いと判断される場合もあります。
建物は利活用されなくなった時点から、老朽化が進行していきます。カビは1か月もすれば畳がダメになってしまうほど、6か月以上空き家状態だと、水道管や床板の劣化が始まります。
空き家を放置し、老朽化が進行すると、資産価値が減少するばかりか、そのままの状態での活用は難しくなります。いざ売却したいと考えたとき、劣化がひどくリフォームや除却が必要になり、思うような売買ができないというケースもあります。
老朽化を遅らせるためには、定期的に窓を開け閉めし、空気の流れを作ることがとても大切です。水道管は、1時間程度水を出しておくことが効果的です。
▽空き家を所有したら
家を相続することになったらまず、相続登記をしましょう。令和6年4月から義務化となりました。所有者が亡くなり相続手続きがされないと、相続人が誰か分からなくなり、管理不全の空き家になる可能性が高くなります。
もし、突然家を所有することになり、分からないことがありましたら、「鳩山町空き家バンク」を利用し、相続登記も含めて、不動産会社に利活用をご相談ください。
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