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自治体の皆さまへ

【特集】「いのちを支える」誰も自殺に追い込まれることのない鴻巣を目指して(2)

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埼玉県鴻巣市

【医療の現場から】
■自殺と深い関係がある病気
『誰にでも起こりうるこころの病気「うつ病」』
▽ひとりで抱え込まず早めに相談を
こころの健康相談員(臨床心理士)
西村 由紀子(にしむら ゆきこ)先生
なでしこメンタルクリニック

うつ病や抑うつ状態は、気分の障がいにあたります。親しい人の死別や仕事の失敗などで一時的に気分が落ち込むことがありますが、持続的に憂うつな感情が心を占めたり、はっきりとした原因もなく気分が沈んでしまう場合は、病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。
うつ状態に気付くきっかけとして、憂うつな気持ちが持続するほかに、意欲の低下や睡眠状況の変化が挙げられます。そうした状態から仕事のミスが増えたり、簡単な決断に時間がかかるようにもなります。自身では「怠けているだけでは」と誤解してしまう場合があり、周りの人が気づくことも大切です。長引くうつ状態を放置すると自殺につながる恐れがあるため、そのような状態の人がいたら、気にかけていることを伝えてあげてください。会話をするだけで、解決にならなくても気持ちが軽くなります。
うつ病は、体の病気と同じで、早めの対処が肝心です。悩みをひとりで抱えないで、家族や友人などに話してみましょう。症状が気になる場合は早めに医療機関を受診し、市の相談窓口も活用しましょう。

【支援の現場から】
■自殺の危険がある人への接し方
『あなたの周りに「心配」な人はいませんか』
▽話を聞くことで相手を安心させる
ゲートキーパー
桐生 澄子(きりゅう すみこ)さん
「心のSOS」に気づき、支え、命を守る門番

4年ほど前に、市のゲートキーパー研修を受けました。ゲートキーパーとは、自殺へと傾いている人の心のSOSに気づき、適切な対応、連携を図る命の門番のことをいいます。
私は普段、傾聴ボランティアや放課後児童クラブ支援員などを通して、多くの人と関わっています。そのような関わりの中で、もし悩んでいる人がいたときは、相手の心に寄り添って傾聴することを常に心掛けています。聞き出すのではなく、いつもどおり接することに気を付け、視野が狭くなっている人には、前向きな発言や別の方法を一緒に考えるように声掛けをしています。
自殺に傾く人は、こころの内を聞いてもらえる相手がおらず、長い時間、ひとりで思い悩んでしまっています。身近に気がかりな人がいたら、ゲートキーパーの研修を受けたことがない人でも、難しいことは考えず、温かい気持ちで話を聞いてあげてください。悩みを抱えている人は、話を聞いてもらえるだけで気持ちが軽くなるんです。そして、それをきっかけに専門機関につながるような声掛けをしてみてください。あなたのやさしい一言が、かけがえのない命を守ります。

■ともに支え合う地域社会の実現を目指して
並木 正年 鴻巣市長

市では、平成27年4月に「鴻巣市民のいのちと心を守る自殺対策条例」を施行し、市民一人ひとりがかけがえのない命の大切さを考え、ともに支え合う地域社会の実現を目指した取組を推進しています。また、平成29年度には、国のモデル事業の採択を受け、全国に先駆けた「生きる支援施策」を掲げ、全庁で自殺対策に取り組んできました。
自殺の多くは、悩みぬいた末に自ら命を絶たざるを得ない状況にまで「追い込まれた末の死」であり、背景には、精神保健上の問題だけではなく、過労や生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立など、さまざまな社会的要因が複合的に重なっている場合が多く見受けられます。
「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の仕組みを市と市民全体で作るとともに、「自殺は防ぐことができるもの」として、ひとりも置き去りにしないよう、その防止に全力をあげていかなければなりません。
令和6年度は、新たな課題や社会経済情勢を踏まえ、「第2次いのち支える自殺対策計画」に基づき具体的な取組を進めてまいります。
今後におきましても、市民の皆さんをはじめ、保健、医療、福祉、教育、労働などの幅広い分野の関係機関や関係団体と連携し、自殺対策に取り組んでまいります。かけがえのない命を守るため、市民の皆さんの一層のご理解とご協力をお願いします。

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