院長 折田 博之
大分県の平均寿命(令和2年)は男性が81.88歳(全国12位)、女性が87.99歳(全国9位)で、健康寿命(令和元年)は男性が73.72歳でトップ、女性も76.6歳で4位と全国に誇れる長寿県です。
しかし、中津市をみると決して安心はできません。老衰を除いた上位3つの死亡原因である悪性新生物(がんや白血病など)、心疾患、脳血管疾患はいずれも大分県の平均より悪く、心疾患については全国平均をも大きく上回っています。
その要因として、心疾患や脳血管疾患の予備軍である糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が県下でも頻度が高いこと、そして健診受診率も県平均を大きく下回っていることが挙げられます。生活習慣病のほとんどは無症状で見過ごされがちですが心臓や脳に悪影響が出る前から治療を始めることが大切ですし、がんも無症状のうちに発見すれば治療成績は格段によくなります。また、健診結果を踏まえて生活習慣の見直しのアドバイスを行う特定保健指導を受ければ生活習慣病の予防にも繋がります。
また、せっかく健診で要精査の知らせを受けても精密検査を受けていない方もいるようです。確かに精密検査では異常なしと診断されることも多いのですが、私自身8年前に便潜血陽性を指摘され、全く自覚症状はありませんでしたが大腸の内視鏡検査を受け3cmのポリープが見つかり切除しました。幸い組織検査の結果は良性でしたが、放置していれば、がん化していたので肝を冷やした経験があります。
中津市民病院でも健診異常に対するさまざまな精密検査や治療を行っています。中津市は豊かな自然環境に恵まれ、海山の幸も豊富な土地です。健康的に過ごすとともに健診を受け、元気に長生きをめざしましょう。
男女別標準化死亡比(平成29年~令和3年の平均)
問合せ:中津市民病院
【電話】22-2480
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