「全国高等学校統一用紙」のとりくみについて
「あなたの家族の職業は何ですか?」「あなたの家の間取りはどうなっていますか?」
これは、全国の大学や専門学校などの学生が採用試験に際し、応募書類やエントリーシートで記入を求められた違反質問の一部です。採用選考にあたっては、応募者の人権を尊重すること、応募者の適性や能力のみを基準として行うことが原則です。適性や能力と関係ないことを基準とした採用選考をすると、就職差別につながるおそれがあります。しかしながら、応募者の「人となり」と関係ない違反質問が繰り返されている現実があります。
九重町では、小学校1年生から中学校3年生まで、「九重町人権共通教材」を活用した人権教育にとりくんでいます。目的は、差別者・被差別者とならないため、優れた人権感覚を養うとともに、あらゆる差別を見逃さない・見過ごさない態度を養うことです。
ここのえ緑陽中学校3年生は、「実際に使われた社用紙」と「全国高等学校統一用紙(*1)」を教材に、「自分の実力や能力と関係ない」、「働くうえで必要ない」などの視点から、差別につながる質問について考えを深める学習を行っています。中学3年生は、就職や進学といった進路決定に向き合う大切な学年です。就職や進学の選考時に、「聞かれたことに素直に答えなければ不利になるのでは…」という思いを抱くかもしれません。しかし、ここのえ緑陽中学校では、差別を見抜き「学校の指導でお答えできません」と答えられる力・差別を許さない行動力の育成を目標に取り組んでいます。差別のない社会を実現するためには、その社会に生きる一人ひとりが真実を見極める社会的な認識能力を高めることが必要です。子どもも大人も、「能力や適性以外で不合格となる」ことに対する不当性を理解し、それを許せないとする価値的思考を高めることで、差別の解消を目指さなければなりません。
ふるさと九重町で学び育った子どもたちが、「自分の能力や人となり」で正当に評価され、社会で活躍する。私たちは、そんな世界、日本、九重町をめざし、これからもとりくみを進めていきます。
(*1)「全国高等学校統一用紙」
全国各地で頻発した就職差別事件に対する差別撤廃運動の中から、1973(S48)年に初めて制定されました。部落差別撤廃の運動とともに制定の歩みが進められたものです。あらゆる差別の解消に向けたとりくみの一つであり、子どもたちの明るい未来を保障する大切なものです。
(教育振興課)
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